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2017.02.04

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

ティム・バートンと言うだけで見に行くワタクシです。
この人のは、はずしたかな?と思う作品も少なくないのですが、うまくいったときの奇妙さ加減が好きで。本作は、割とうまくいったと思います。

邦題はペレグリンさんと子供たちの2本柱ですが、スポットライトがあたるのは子供たちの方。ミス・ペレグリンの方は、子供たちの生活環境を護るいわばインフラです。

そのインフラが囚われ、機能しなくなり、援けを得られなくなった子供たちが、状況にどう立ち向かっていくかというあらすじです。

子供たちにはそれぞれ、普通の人間にはない特異な能力があるのですが、それを生かすために必要なのものは何か、ということを、主人公の少年を通して描いています。結構いいです。
薬味に使っているボーイミーツガールやタイムスリップや成長物語やらの加減も良くて。

お話もなかなかですが、それにも増してこの作品のいいところは、映像の不思議な色合いでしょうか。現実世界の鈍く沈んだ色と、ミス・ペレグリンが作り出している閉じた楽園の明るく鮮やかな色との対比。

そしてキャスト。お話のうえでは一歩下がった位置にあるミス・ペレグリンですが、女優の強烈な存在感が、このキャラクタの魅力を放射しています。ちょっとした演技のあれこれが、いいなあエヴァ・グリーン。思わせぶりをわざとやって、ちゃんと狙った効果を嫌味なく出している。

はじめは、主人公の少年を含め、子供たち全員を上から目線で見ていた嫌な女性だったのが、お話の終わりに、子供たちの成長を、ちょっと見直したような表情を見せるのですが、それをほんの短いカットだけで演っている。
いいなあ、映画を見ていていいなあと思うのは、こういうときです。

ちょっと贔屓目かもしれませんが。


「キングダム・オブ・ヘブン」と「300 帝国の逆襲」では堂々の主役級でしたが、ここでは、脇役でありながら、要所で作品を引き締めている。そんな風です。

ファンタジーが好きなら、見て損はなさそうです。

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