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2017.01.08

「NERVE」

最初にインターネットが映画の材料になったのは「ユー・ガット・メール」あたりだろうか。その頃は、夢と希望にあふれた未来のツールという捉え方だった。新しいコミュニケーションツールの出現に、誰もが期待を膨らませていた。

時は流れて、本作でのネットは、匿名の怖さの増幅装置ということになっている。ネットの向こうの見えない大多数は、リアルで会うことのない、それゆえに抑制の効かない不道徳の雲だ。

ネットが普通のものになってみれば、実際にはまあ、そんなに極端なものでもない。悪いところも良いところもある。ただリアルより接点が多いというだけのことだ。


本作ではむしろ、大衆の欲望の危険性の方に目を向けたい。「ハンガー・ゲーム」と同じ。

プレイヤー/ウォッチャーのような選別を迫って善人を焚きつけておいて、その破滅をみんなで眺めて楽しむ、という、よからぬ趣向だ。勝者が1人しかいないルールのもとでは、大多数のプレイヤーが破滅せざるを得ない。そうとわかっていて見て見ぬふりをする視聴者というものの悪意がよく出ている。

最後はプレイヤー側の作戦勝ちでハッピーエンドに収めているけれど、危ういことだという印象は消えない。

妙にリアルな感じがあって尾を引きそう。

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