「マグニフィセント・セブン」
もうね。キャストを見ただけで何も考えずに見に行くわけです。イーサン・ホーク入ってるし。
そして知るわけです。「七人の侍」を受け継ぐ物語の不滅の輝きを。
何が不滅かといえば、それは彼らの死にざまです。決して生きざまではありません。
正義とか仁義とか侠気とか、そういうものの片鱗は確かにあるでしょう。でも、それ自体が核心なのではありません。
そういう片鱗を抱えて、時代のリアルと折り合えずにはみ出してしまった者どもが、抗しがたいリアルに向き合って死に場所を求める。それこそがこの輝きを生み出すのです。勝手なことを言っています。
でも、正義の実現を求めた彼女は、そのあとすぐに言ったではありませんか。「そして復讐を」と。綺麗ごとではないのです。
ここは、七人の侍とは少し違うところかもしれません。集まった七人と村人との立ち位置は、「七人の侍」においては異なっていましたが、この「マグニフィセント・セブン」においては重なっています。それを知るには、お話のクライマックスまで待たねばなりません。
それがあったがゆえに、デンゼル・ワシントンには志村喬のような、事を成した後の苦い述懐がありません。かれはただ黙って感謝されつつ立ち去るのみです。
死にざまという点では、むしろほかの登場人物の方が、際立っていたわけです。特にイーサン・ホークがそこを受け持つのかと思っていたのですが、一番おいしいところを、にやけ男のクリス・プラットに持っていかれてしまいました。クリスは三船敏郎だったんですね。
ともあれ、たいへんな熱量で満足いたしました。
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