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2017.01.21

「ザ・コンサルタント」

マッチョでヘンタイなイメージのベン・アフレックのはまり役。バットマンも似合ってたけど、この会計士はもっと似合います。

冴えない自営業者は世を忍ぶ仮の姿で、その正体は、悪党に鉄槌を下す容赦ない殺し屋。

なんてまあ、ウケそうな定型キャラなんでしょ。必殺仕置き人も真っ青です。
ただまあ、仕置き人のバックアップが時の権力者であるのに対して、この会計士は完全独立自営。しかも違法操業。当局はそれを突き止めながら黙認。このあたりの危うさが、お話の面白さと表裏一体です。

インテリジェンスを担う謎の声だけ女性については、最後に驚きの種明かしが待っている。素晴らしい。コンパクトで効果的。AIじゃありませんよ残念ながら。

この主人公にはしかし、何か正義があるわけではありません。彼が今回敵認定した相手は、単に、自分がちょっと惚れちゃったかもしれない女に危害を加えようとしたというものでしかない。そこいら辺に、この映画のそこはかとないヤンキー風味が感じられます。世のため人のためとかよりも、惚れた女のためにひと仕事、それが一番かっこいいという世界観。

自分の事業がどんなに世のため人のために役立っているかをまくしたてる黒幕を、特に反論もせずに面倒くさそうに一発で撃ち殺してしまうあたりの尖り具合にそれが表れていて、案外、それが今の最先端なのかもしれません。

伏線は全部回収してしまったようなので、続編が作れるのかわかりませんが、微妙さ加減が絶妙な面白キャラの活躍を、また見て見たい気もします。

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