「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」
緊張したー。
ミサイル発射から着弾までのわずかな時間は、映画的な演出の効果で普通に緊張する。
作戦実行派と反対派との間で、会議室や作戦室で繰り広げられるつばぜり合いは、もっと緊張する。
AI絡みでも最近注目されたトロッコ問題は当然あるとして、それにプロバガンダ戦争という視点が重ねられて、奥行きが出る。
戦争は政治の手段とはよく言ったものだ。
その意味で言えば、作戦はもちろん成功だ。けれども。
あの少女の父親は、その後どうするのかね。
そこがこのお話の本当の帰結であるはずだ。
それは、観る側に委ねられている。
作り手はよくわかっていて、微妙な中立を保つ。
現地のちんぴら武装勢力が、トラックの荷台のしょぼい武器を捨てて場所をつくり、瀕死の少女を大急ぎで病院に運んで行ったのが印象的だ。
制空権などという脅しと監視一辺倒の概念だけでは、信頼される統治はとうてい成し得ない。
アランリックマン、いい作品を遺してくれました。R.I.P.