「アスファルト」
寂しがりやな人間の本音をじんわり描いたよい作品。
基本的に孤独なのが、死すべき人間というものの本質だという考えは変わらないけれど、それだけでもない寂しがりやの面をこうしてじっくり描かれると、それもそうだなと思ったりもする。
バランスを欠きがちな一人暮らしには、時折こうした作品を見る時間が必要だ。
2階に住んでいる団地の住人が、エレベータは使わないから修繕費を払いたくないと言った翌日に、不注意で車椅子生活を余儀なくされるとか、皮肉も効いていて楽しい。
作中のところどころで聞こえてくる、金属が擦れるような音が不思議で、引っ掛かっていたけれど、最後にそれが、ゴミ捨て場のカーゴの、鍵がはずれた扉が、風に煽られて立てる音だとわかる。
メンテナンスが十分になされていない、孤独で貧しい生活の実感が滲んでいて、そうした背景の上に、ひとときの温もりを描いた本作に、深みを付け加えていた。