「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」
前作同様に、派手さとスピード感を味わいたい。
ジェシー・アイゼンバーグの抑制的な早口が、この作品の魅力のかなりの部分を形作っていると思う。
マジックの細部に目を凝らせば、かなり無理がある点には目を瞑っておくのがよさそう。トリックを仕込むには、相応の時間や大掛かりな動員が必要だけれど、このお話の進行は1日単位で、そういった仕込みをするには無理があり過ぎる。
催眠術に重きを置き過ぎているのも、ちょっと引っ掛かるところ。特に、そうした術に一応通じているはずの4人が、出だしであっさり引っ掛かるのがどうかと思う。
まあ、それらは、この作品の魅力とは別の部分のことだから、黙ってやり過ごせばいい。
金持ちの銀行家を徹底的に叩いて悪玉に仕立てているのは、大衆向けマーケティングのいつもの手法だから、当事者でもない気楽な観客は気にも留めない。
なんだか引っ掛かる言い方だけれど、そういう引っ掛かりを持たせた映画だと受け止めておこうかな。