« 「シン・ゴジラ」 | Main | 「ジャングル・ブック」 »

2016.08.11

「X-MEN:アポカリプス」

チャールズが禿になった理由がわかたよ!
ウルヴァリンが再び彼でよかたよ!

まあ、それはともかく、毎回鉄板のワンパターンなのに、またしても全体と細部の噛み合わせのよさで、満足度大。

言うことないです。

これは続編も期待大。

[追記]
それだけだと、ちょっとあれなので、最も重要な点をメモしておきたい。


ほとんどの映画で、悪役は極めて重要だ。それが出来の良し悪しを左右するからだ。

この作品の悪役エン・サバ・ヌールには、思想があるように描かれている。
その核心は、「道具や制度に頼るな。縛られるな。生来の能力を磨け」だ。

たいがいの悪役は、とても画一的に描かれることが多い。その多くは権威主義だ。
ところが、このエン・サバ・ヌールは、実力主義なのだ。

囚われたチャールズが、能力を利用させるように迫られるシーン。
ここではエン・サバ・ヌールは、脅しで強制するコワモテの貌を見せる。

ところが、セレブロがなければそんなことはできないと言うチャールズに、
今度は打って変わって、諭すように、
装置に頼るのではない。能力を最大限発揮するのだ、と説くのだ。

その様子は、まるで父親が易しく息子を導くようで、
さきほどのコワモテな貌ではまったくない。
それでいて、自分の思う通りの方向へ人を向かわせようとする。

これはなかなか強力なリーダーだ。
ちょっとグラッとくる。悪役いいじゃない。


彼はまた、スケールが大きい。

世界中の核兵器が発射されたとき、
誰もが、相互確証破壊の地獄絵巻を想像しただろう。

でも彼は、そんなチンケなことはしなかった。
単純に宇宙の向こうに、それらを追放し無力化しただけだ。

道具に頼るな、の思想は、ここでも貫かれている。
それに代わって世界を破滅させるのは、ミュータント自身の能力だ。
マグニートー最大出力。
エン・サバ・ヌールは、最初から一貫した考えで、そのための布石を着々と打っている。


この悪役の、自らの思想に対する忠実さは、最後まで貫かれる。

実力が突出しているが故の唯我独尊的な姿勢がもとで、
配下にも裏切られるのだが、

そんな程度では、この漢は負けない。
X-MEN全員を相手にしても、勝っていた。


では何に負けたか。

単純に、自分より強力なミュータントに負けたのだ。
学園いちのモンスター、ジーン・グレイの覚醒によって。

だから、彼の最後の言葉は、「これも運命(定め)か」なのである。
自分に対しても容赦しない。思想に忠実に、自分の滅びを認めるのだ。
そこに欺瞞や狡猾さはない。


いいじゃないのこの悪役は。

|

« 「シン・ゴジラ」 | Main | 「ジャングル・ブック」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事