「X-MEN:アポカリプス」
チャールズが禿になった理由がわかたよ!
ウルヴァリンが再び彼でよかたよ!
まあ、それはともかく、毎回鉄板のワンパターンなのに、またしても全体と細部の噛み合わせのよさで、満足度大。
言うことないです。
これは続編も期待大。
[追記]
それだけだと、ちょっとあれなので、最も重要な点をメモしておきたい。
ほとんどの映画で、悪役は極めて重要だ。それが出来の良し悪しを左右するからだ。
この作品の悪役エン・サバ・ヌールには、思想があるように描かれている。
その核心は、「道具や制度に頼るな。縛られるな。生来の能力を磨け」だ。
たいがいの悪役は、とても画一的に描かれることが多い。その多くは権威主義だ。
ところが、このエン・サバ・ヌールは、実力主義なのだ。
囚われたチャールズが、能力を利用させるように迫られるシーン。
ここではエン・サバ・ヌールは、脅しで強制するコワモテの貌を見せる。
ところが、セレブロがなければそんなことはできないと言うチャールズに、
今度は打って変わって、諭すように、
装置に頼るのではない。能力を最大限発揮するのだ、と説くのだ。
その様子は、まるで父親が易しく息子を導くようで、
さきほどのコワモテな貌ではまったくない。
それでいて、自分の思う通りの方向へ人を向かわせようとする。
これはなかなか強力なリーダーだ。
ちょっとグラッとくる。悪役いいじゃない。
彼はまた、スケールが大きい。
世界中の核兵器が発射されたとき、
誰もが、相互確証破壊の地獄絵巻を想像しただろう。
でも彼は、そんなチンケなことはしなかった。
単純に宇宙の向こうに、それらを追放し無力化しただけだ。
道具に頼るな、の思想は、ここでも貫かれている。
それに代わって世界を破滅させるのは、ミュータント自身の能力だ。
マグニートー最大出力。
エン・サバ・ヌールは、最初から一貫した考えで、そのための布石を着々と打っている。
この悪役の、自らの思想に対する忠実さは、最後まで貫かれる。
実力が突出しているが故の唯我独尊的な姿勢がもとで、
配下にも裏切られるのだが、
そんな程度では、この漢は負けない。
X-MEN全員を相手にしても、勝っていた。
では何に負けたか。
単純に、自分より強力なミュータントに負けたのだ。
学園いちのモンスター、ジーン・グレイの覚醒によって。
だから、彼の最後の言葉は、「これも運命(定め)か」なのである。
自分に対しても容赦しない。思想に忠実に、自分の滅びを認めるのだ。
そこに欺瞞や狡猾さはない。
いいじゃないのこの悪役は。