« 「X-MEN:アポカリプス」 | Main | 「ペット」 »

2016.08.12

「ジャングル・ブック」

ディズニーにとって、もう動物をCGで描くのは自由自在なのだろう。狼も虎も熊も、みないかにもそれらしく描かれる。とはいえ、実物は動物園で見る機会しかないから、もはや本物がどうなのか自信はないのだが。

それで、そのいかにも「らしい」動物たちが、人間のように言葉を話す。人間のように性格が描き分けられる。
なので、この映画は、動物映画ではなくて、むしろ擬人化した動物たちによる人間ドラマだ。まあ、いつものパターン。

その土台の上で、この映画が取り上げているのは、集団主義と個性主義(いま作った造語)のバランスだ。公共のルールと個人の自由とは、たいてい軋轢を生じるもので、煮詰まってしまうと双方のっぴきならなくなる。そうならないように、適度にてけとーにやっていくのが、実は賢い身の処し方であるという、中庸の精神が埋め込まれている。

これは良い映画だ。

私としては、熊のえーかげんそうに見えて、実は相当賢い振る舞いが好きだ。
最初は掟にうるさい頑固者だった黒豹が、最後の方では主人公の個性を認めていく柔軟さも好きだ。
集団主義に忠実な狼の群れには敬意を表したい。まああまり取り込まれたくはないけれど。
虎は哀しい存在だ。盛者必衰に至る前に、業で身を亡ぼすけれど、それも節理の一部だろう。

そういうわけで、この映画、わりと気に入りました。

|

« 「X-MEN:アポカリプス」 | Main | 「ペット」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事