「ヤング・アダルト・ニューヨーク」
原題は、"While we're young"。2014年の作品。
原題の示すところが、この作品の意図ではあるのだろうけれど、ちょっとそれを掴み損ねた。
誤解を生みやすい邦題と、4人のキャストの組み合わせから、違う内容を想像して行ったので、先入観を修正するのにエネルギーを使ってしまった。
たしかに、若者の傍若無人ぶりや自己愛とかは、どんな時代でも共通してあるのだろう。昔、同じように若者だった中年夫婦からそれを見れば、自由と熱量は羨ましくもあり、しかしながら受け入れがたい価値観の違いはあるだろう。「矩を踰えず」の制約を感じる年齢になったか否かの違い。
映画作りの上手い下手でいえば、たぶん下手な印象だが、若い野心家(アダム・ドライバー)の方が、「自分が死ぬ気がしない。変かな?」というくだり、これが渋い。
若者の不遜や自己愛の中心には、それがある。
歳をとって子供ができると、死ぬのは怖くなる。
(自分が死んだらこの子を護る者がいなくなる)
そういうことが、さりげなく、下手くそに(笑)、描かれている。
歳を取ればたいがいの人が気付くことに、この中年夫婦もまた開眼するわけだが、それが微妙に苦々しく感じられたのは、作品の意図だったのだろうか。どうだろう。
ちょっと落ち着きどころを探すのに苦労するような、未完成のような、描き切れていないような、そんな不安感が残った。
配役がすばらしいだけに、やや残念。