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2016.07.10

「ブルックリン」

いわゆる上京物語。

地方の伝統的で馴染のある良さと、都会の刺激的な目新しさとが描かれる、よくある筋書だ。
その間で、主人公の揺れる気持ちを浮き上がらせている。

結局、どちらを選ぶかを主人公は決めることになるのだが、そこをセンチメンタルには描かずに、誰にでもわかるような明快さを持って鮮やかに打ち出している。それがこの作品の肝だ。

田舎の因習や、集団主義、権威主義、利権構造の象徴のような女商店主に対して、主人公がきっぱりと、強い口調で名乗るシーンは、自我の目覚めをはっきり意識させて、まるで一陣の風が澱んだ空気を吹き飛ばすように爽やかだ。

シアーシャ・ローナンは、派手な美人というわけでは決してないが、理知的で心身ともに頑健な人間をよく演じていた。今後も期待して観ていきたい。

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