「団地」
団地という密度の高い生活空間の日常を描いた作品。
商店街から、わけあって団地へ移住してきた夫婦の目で、描かれるそれは、滑稽でもあり、異常でもあり、というところ。それだけだとさすがに、飽きが来るところだが、ちょっとしたサプライズと、非日常要素を組み入れて、かろうじて最後まで場をもたせている。
本当のところを言えば、団地に住んだ経験がないので、深いところはわからない。子供の虐待とか毒を含んだ近所の噂話とか不倫とか、そういうものの実在感が、自分には希薄なのだ。
それでも、かりにそういうものがすべて本当だったとしても、人間て案外逞しく生きていくものだなという感触が、この映画からは微かだが感じられて、それが救いかなと思った。