「追憶の森」
一定の年齢になれば誰でも、身近な人の死に向き合うことになる。
そのときになってはじめて、自分がいかに自己中心的な人間だったかに気付くことがある。
そういう点で、誰にでも共感できる内容を、この作品は、コンパクトに、多少ドラマチックにまとめている。
互いに率直な話ができなくて、優しさを見せるときも迂遠な方法をとる。
相手もそれに気づいていながら、気付かないフリをする。
これもよくある話で、共感できる。
この作品の巧みなところは、その迂遠な方法を、亡くなった妻から夫へのメッセージにも使っていることだ。
まさかあの、日本人のくたびれた中年男が、亡き妻の、素直でないが愛情のこもったメッセージの依代だったとは。
泣ける。
この巧みさのお陰で、ありがちなテーマだが、良い印象を残す作品に仕上がっている。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「ガール・ウィズ・ニードル」(2025.06.15)
- 「JUNK WORLD」(2025.06.15)
- 「Devil May Cry」(2025.06.09)
- 「我来たり、我見たり、我勝利せり」(2025.06.09)
- 「ラブ、デス&ロボット」(2025.05.22)