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2016.05.01

「追憶の森」

一定の年齢になれば誰でも、身近な人の死に向き合うことになる。
そのときになってはじめて、自分がいかに自己中心的な人間だったかに気付くことがある。
そういう点で、誰にでも共感できる内容を、この作品は、コンパクトに、多少ドラマチックにまとめている。

互いに率直な話ができなくて、優しさを見せるときも迂遠な方法をとる。
相手もそれに気づいていながら、気付かないフリをする。
これもよくある話で、共感できる。


この作品の巧みなところは、その迂遠な方法を、亡くなった妻から夫へのメッセージにも使っていることだ。
まさかあの、日本人のくたびれた中年男が、亡き妻の、素直でないが愛情のこもったメッセージの依代だったとは。

泣ける。

この巧みさのお陰で、ありがちなテーマだが、良い印象を残す作品に仕上がっている。

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