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April 2016

2016.04.29

「シビルウォー」

子供たちは毎シーズン、ドラえもんなんかを見て喜ぶわけだけど、大きい子供たちは、アヴェンジャーズとX-MENとスタートレックとスターウォーズとトランスフォーマーあたり、シーズン毎に見とけば、お腹いっぱい頭空っぽになれる。

とはいうものの、今回の「シビルウォー」は、そこそこちゃんとした出来でした。一応、不条理や葛藤や運命の綾とか入ってたし。笑いを取るキャラも投入して変化も付けてたし。よくできたバラエティー。

なにより、派手で恰好いい大立ち回りの、影の部分に光を当てているのは、最近の流行りをきちんと踏まえていて、よろしいんじゃないでしょうか。

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2016.04.24

「フィフス・ウェイブ」

カタストロフィを見に行ったはずなのに
ティーン向けのアイドル映画を見て帰ってきました。

さらに、映画というよりはテレビドラマ風の味付けで、
「つづく」で終わるという・・

次はあっても見ないこと請け合い。

クロエ。グレース・モレッツは、怪物とか変身とか超能力とか
少々色ものの役どころばかりで、そういう専門路線で
やっていくのかと思っていましたが・・

そういう専門以外は、どうもあまり上手くない感じがしました。
猪首で猫背でいかり肩だから仕方がないとは思いますが。
脚はすらりとして綺麗だけど。

女優としての鍵は演技力だけど、ちょっと難しいかな。

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2016.04.23

「レヴェナント:蘇えりし者」

少ないセリフ。美しい映像。夢とも現ともつかない展開。
revenant とは、辞書によれば「幽鬼」の意。

展開されるストーリーは復讐譚だが、
それぞれの人物の背景を絡ませつつ、
より深みへと観客をいざなう。
キリストの復活を暗示するような、宗教のにおいもする。

どのようにでも受け取れそうな含意のある作品。
それゆえに感想を言うのが怖い作品でもある。


私には、これは恵み(神の恩寵)について描いているように見える。

原住種族はその恵みをよく識っており、感謝して生きている。
主人公は白人だが、その文化に縁あって触れ、彼らと同じ視座を持つようになる。

一方、その主人公の息子を殺した仇の白人の男は、恵みを見聞きしていながら盲目だ。

彼が語る祖父のエピソードに、餓死寸前の祖父の前にリスが現れるくだりがある。祖父はそのリスを撃ち、食らって生き延びるのだが、仇の男はそのエピソードを鼻で笑う。

彼にとっての神は、おそらく、人間の要求を簡単にかなえ、人に安楽(と堕落)をもたらすものなのだろう。
神ならば、暖かい寝床とうまい肉と酒と煙草くらい出せるだろう。それがたったのリス一匹か。そんなちっぽけなもののはずはない。やはり神などいないのだ。
それが彼の受け止め方だ。

リス一匹でも、それで生き延びることができたのなら、大いなる神の恩寵というべきだろう、とは考えない。貪欲で傲慢と、宗教家なら言うかもしれない。


主人公は、瀕死の状態から何度も危地をくぐり抜け、意図せず人を援け、また援けられ、犠牲を払いながら、生還する。死の一歩手前で微かに与えられる神の恩寵を、藁にすがるように手繰り寄せながら。その様は、まるで何かの意思を示しているかのようだ。まだお前は死んではならない。成すべきことを成せ。

これは復讐譚の形をとっているが、実は、人が成すべきことを成す過程を見せているのではないか。ことを成す人に、神の恩寵はもたらされる。ことが小さなものであっても、大切なことならば。

最後に決着をつける場面で、仇の男は、「ちっぽけな復讐のためにそうまでするのか」と問いかけて、主人公をひるませようとする。しかしおそらく、主人公にとって、これはもはや復讐ではなくなっているのだ。悪しき芽を摘むこと。神の恩寵をないがしろにする者を打ち滅ぼすこと。それが彼が死ぬ前に成すべきことだ。
だから、とどめを自分の手では刺さずに、恵みについて深く理解している別の者たちに委ねたのだろう。

なぜ、瀕死の状態から、凄まじい生への執着を見せて生きて還ってきたか。
成すべきことを成すため。
なぜ、二度目には、生への執着が消えたように見えるのか。
成すべきことを成し終えたため。

そういう作品に、私には見えました。

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2016.04.09

「ルーム」

拉致監禁がネタになっているけれど、このお話は、その監禁から、知恵を使って脱出した後が、本筋になる。
そういう目にあった犯罪の被害者を、世間はどう見るか。また、当事者たちは、その傷からどう恢復していくか、という点が見どころ。

はじめは、外の世界を初めて見る5歳の子供が、適応に苦労する。周囲の大人の繊細で辛抱強い対応で、徐々に普通の子供として軌道に乗っていく。

しかし、犯罪の結果生まれてきた子に対する世間、とりわけマスコミの底意地の悪さが、子供自身よりむしろ子供を護ろうとする周囲の大人たちを苦しめる。

それを今度は、めきめきと回復した子供の無邪気さが救うことになる。
ばあばが言った、「人は助け合うもの」というせりふが、思い返してぴったり重なる。
負うた子に教えられとはよく言ったものだ。

祖母とその連れが、たいへんよくできた人間で、お話の節々に、大切な気付きがある。それが、お話の流れに自然に埋め込まれていて、見終わった後、いい映画を見せてもらったな、という印象が残る。

良作。

大資本や有名人ではない作り手が生み出した、こういう作品が、きちんと世界で評価されて、大勢の人の目に触れるのは嬉しい。
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