「クリムゾン・ピーク」
ギレルモ・デル・トロが関わると、映画に艶が出る。そういう気がしている。
ちょっとしたディテールが、たぶんその理由なんだろう。
前半は、恐怖を煽る方向。特にあの、誰もいないのに開いていく重いドアの取っ手が音を立ててガチャガチャ鳴るシーンは、劇場で見ると総毛立つ。いるぞ、ということを隠そうともしない、不意に襲い掛かって驚かすような不純なことはしない、混じりっ気なしの恐怖。
これが、ギレルモ・デル・トロだ。
後半になると、幽霊たちは主人公の味方の感じを出して、恐怖は抑える。映像はグロイが恐怖は取り去っている。
代わって前に出てくるのは狂女のあはれ。恐ろしいのではなく哀しい。
そういう風な流れを、艶のある映像とカメラワークで作り出している、いつもながらの良作。
最後はあっさり終わって、後味も悪くない。
自分としては数少ない、監督の名前で見る映画は、今回も期待通りでした。