「スターウォーズ/フォースの覚醒」
要素を絞って、あっさりした仕上がり。記念すべき第一作「エピソードⅣ」に重ねるかのような粗筋。なるほど、これは旧作ファンのために、最新技術を使って制作した、ライトなタッチの娯楽映画なんだな。
と思っていた。最後のアレまでは。
しかし、アレで、作り手の本気度がはっきり伝わってきた。これはライトなお話にはなり得ない。かといって、かれこれ40年も前のあの、今から思えばややどんくさい、思わせぶりたっぷりな感じでもない。軽快な時代の空気を反映しながら、テーマ設定は伝統的で本格的。
「Ⅳ」から始まるルーク・スカイウォーカーの三部作は、ダースベイダーとの決着を終着点とする冒険譚だった。
今度は、ルークの終着点から出発する。アレによって、そう作り手は宣言した。だから、それをレイに引き継ぐべく、作品の最後にルークが満を持して、苦悩の表情で登場したわけだ。彼は、父アナキンとのいわく言い難い諸々を、どのようにレイに次作で伝えるのか。いったいどこへ我々は連れていかれるのか。
一方、予告編に必ず入っていた、カイロ・レンの台詞、"I finish what you start." は、表面的には、銀河帝国の野望を引き継ぐ意味になるが、実は、ルークとアナキンの骨肉の決着を、自分が引き継ぐ、と言っているようにも思える。レイとベン、二人の若者が、この神話世界以来の伝統的な葛藤を、どう飲み込んで成長していくのか、その期待を、のっけから感じさせる。
シリーズの過去を受け継ぎつつも、新しい世代の新しい物語がこれから始まる。観終わってみれば、まだ幼ささえ残すレイとベン、そしてフィンの息吹が、生き生きと残っている。
これは素晴らしい三部作になる可能性がある。
期待したい。