「パロアルト・ストーリー」
20歳前の若者には、大人社会からの、目には見えないが強いプレッシャーがかかっている。この映画は、それをよく映し出している。
いつも行動を共にして、許し合っていた二人の高校生が、最後に、別の道に分かれたのは、結局、親という最も身近な大人の影響があったからだ。
二人の内、主人公の方は、親に恵まれていた。あまり子供の素行に干渉しないが、経済的にも余裕があり、注意深く包容力のある人間だったのだろう。映像の端々にそれが見える。
もう一人、いつも奇行に走っているエキセントリックな方は、親に問題があった。そのことが、短いエピソードだが、きちんと挿入されていて、この高校生の無軌道の原因を想起させている。結局この子は、残念なことに、まずい方に行ってしまう。
男の子だけではない。女の子の場合もそうだ。義理の親と、そしてサッカークラブのコーチからも、強く影響され、いっときは、大人のコーチに惹かれるものの、結局、同年代の男の子と一緒にいる時間の方に、安らぎを見出す。
世代というものはこういう風に自然に形成されるものなのだなということが、見ていてすんなり頭に入ってくる。
なにか、とても健気で健全な作品を見せてもらったような気持ちが残る、良作。