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December 2015

2015.12.29

「パロアルト・ストーリー」

20歳前の若者には、大人社会からの、目には見えないが強いプレッシャーがかかっている。この映画は、それをよく映し出している。

いつも行動を共にして、許し合っていた二人の高校生が、最後に、別の道に分かれたのは、結局、親という最も身近な大人の影響があったからだ。

二人の内、主人公の方は、親に恵まれていた。あまり子供の素行に干渉しないが、経済的にも余裕があり、注意深く包容力のある人間だったのだろう。映像の端々にそれが見える。

もう一人、いつも奇行に走っているエキセントリックな方は、親に問題があった。そのことが、短いエピソードだが、きちんと挿入されていて、この高校生の無軌道の原因を想起させている。結局この子は、残念なことに、まずい方に行ってしまう。

男の子だけではない。女の子の場合もそうだ。義理の親と、そしてサッカークラブのコーチからも、強く影響され、いっときは、大人のコーチに惹かれるものの、結局、同年代の男の子と一緒にいる時間の方に、安らぎを見出す。

世代というものはこういう風に自然に形成されるものなのだなということが、見ていてすんなり頭に入ってくる。


なにか、とても健気で健全な作品を見せてもらったような気持ちが残る、良作。

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2015.12.19

「スターウォーズ/フォースの覚醒」

要素を絞って、あっさりした仕上がり。記念すべき第一作「エピソードⅣ」に重ねるかのような粗筋。なるほど、これは旧作ファンのために、最新技術を使って制作した、ライトなタッチの娯楽映画なんだな。

と思っていた。最後のアレまでは。

しかし、アレで、作り手の本気度がはっきり伝わってきた。これはライトなお話にはなり得ない。かといって、かれこれ40年も前のあの、今から思えばややどんくさい、思わせぶりたっぷりな感じでもない。軽快な時代の空気を反映しながら、テーマ設定は伝統的で本格的。

「Ⅳ」から始まるルーク・スカイウォーカーの三部作は、ダースベイダーとの決着を終着点とする冒険譚だった。
今度は、ルークの終着点から出発する。アレによって、そう作り手は宣言した。だから、それをレイに引き継ぐべく、作品の最後にルークが満を持して、苦悩の表情で登場したわけだ。彼は、父アナキンとのいわく言い難い諸々を、どのようにレイに次作で伝えるのか。いったいどこへ我々は連れていかれるのか。

一方、予告編に必ず入っていた、カイロ・レンの台詞、"I finish what you start." は、表面的には、銀河帝国の野望を引き継ぐ意味になるが、実は、ルークとアナキンの骨肉の決着を、自分が引き継ぐ、と言っているようにも思える。レイとベン、二人の若者が、この神話世界以来の伝統的な葛藤を、どう飲み込んで成長していくのか、その期待を、のっけから感じさせる。

シリーズの過去を受け継ぎつつも、新しい世代の新しい物語がこれから始まる。観終わってみれば、まだ幼ささえ残すレイとベン、そしてフィンの息吹が、生き生きと残っている。

これは素晴らしい三部作になる可能性がある。

期待したい。

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2015.12.12

「アクトレス」

往年の名女優とその秘書、そして、女優がかつて名声を得ることになった役柄を引き継ぐ、若い気鋭の女優の3人のあり方を描く作品。新旧の女優の考え方に、時代性があって興味深い。

役作り、という言葉は知っていても、実際になのをしているのかはよくわからなかったが、本作でその一端がわかった気になれてよかった。

秘書役のクリステン・スチュワートは、トワイライトのときは、下手な女優さんだと思っていたが、本作ではそうでもない。結構いろいろな表情を使い分けている。

そして、クロエ・グレース・モレッツだが・・この人は猫背で猪首でいかり肩なのに、どういうわけだか存在感があって、ここでもオーラが出ている。ああいうのは生まれつきなんだろうか。それを再確認できたのは面白かった。

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2015.12.05

「星の王子さま」

星の王子様に、若い頃に会ったという年寄と、その隣に引っ越してきた母子家庭の女の子とを絡めながら、サン・テグジュペリの小説の筋を追った作品。王子様が、星へ帰る途中で迷って、純な心を失ったまま青年になっている設定が面白い。心温まる帰還のお話。

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