「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」
パリでテロがあったりして、なんだか世界は随分複雑になってるんだなあと思っていたら、その辺りの複雑な感じを、図ったようにこの映画が見せてくれて、タイムリーといえばそう。予測して作っているのか、それとも世情に合わせて迅速に脚本を書き換えて編集しているのか。
敵役のスノー大統領が、自分の側の市民に向けて、避難指示を放送するときの台詞が、「反乱軍は、われわれの安全で豊かな生活そのものの破壊が目的だ」と言ったのが、いま海の向こうで世の中を騒がせているテロリストの行動とぴたり一致していて、ぎくりとする。
テロリストといっても、十分な資金の裏付けがあっての活動であるはずで、それは、彼らが手に入れた油田だとされている。でも変じゃないか。アブラが金に変わるためには、誰かがそれを買っているはずだ。ところがそういう肝心要の解説は、マスコミからは流れてこず、やれ空爆だ国境閉鎖だとか、庶民受けしそうな派手な動揺だけが喧伝される。このあたりも、この作品シリーズが一貫して批判的に見せている、「プロモ」なのじゃないかと思えてくる。
避難民が官邸の前で足止めを食って、そのあと起きることなんか、いまとなってはちょっと笑えないところもある。
そういう点が、この映画のなかなかニクいところだ。
エピローグもまあ納得できる終わり方。
アクションもいろいろ盛り込んでいて、エンタメとしてもしっかり作りこんでいて、わるくない完結編でした。