「ステーキレボリューション」
こういうお勉強ものが結構好きで。
肉が美味そうなのは言うまでもないけど、それ以外にも、精肉店のオヤジ達とか、育牛をアツく語る農場主とか、いろいろな人たちが登場して、とっても楽しい。
そういう人たちが、それぞれの立場で、何か肉を旨くするのか、とか、どういう方法が「正しい」ことなのか、とかに熱弁を奮う。
映画の作り手の側には、穀物飼料を使うことへの批判があるようで、肉の柔らかさや味では極めて高い評価を和牛に与えながらも、足が短く細くて、まるでそれが不要なみたいだと言わせている。日本人に言わせれば、「足なんて飾りなんです」と言いたいところだろうけれど、肉食の長い彼らにとっては、それは受け入れられないらしい。
生育の早いアンガス牛 → サシの多い和牛 → 自然に育ったロングホーン → 品種より育つ環境重視
という道筋を辿って、最後は結局、農場で放し飼いにしながら、草を自然に食べて、じっくり年を取った牛が最高だという結論に至る。穏やかな性格の牛を選んで、ストレスの少ない生活を送らせることが大切で、牛の品種は関係ないというスペインの農場に、1位の栄誉を与えている。
ちょっと意外だったのは、欧州の高級レストランの人が、ステーキはハレの日の食事で、普段食べるものではないということを言っていたこと。15歳くらいの、じっくり年を取った牛には、その間の飼料やらなにやら経費が掛かっているから、そういう考え方に至るのは当然といえば当然か。
米国のレストラン主は、30か月以上なんてとても受け入れられないという考えで、それはそれでまた別の食事スタイルになるのだろう。
牛のスペックから始まって、産業全体の哲学のようなものまで考察していて、結構面白い作品でした。