「ジュラシックワールド」
かなり家族連れやカップルを意識したつくりになっている。特にヒロインの彼女のムンムンする存在感が強すぎて、恐竜たちはマスコットか背景画になってしまったしまった。作り手側のマーケティング意図がティラノサウルスの息のように生臭い。
クライマックスで彼女がオリジナルのティラノを誘い出すシーンを見れば、この作品がどちらに力点を置いているか、はっきりわかる。
まあそれでも、恐竜のCG映像はそれなりによかったから、それを見る映画と思えば、それでいいわけだ。
本当はもっと原初の恐怖を呼び覚ます映像と、それに翻弄されながらサバイバルする人間を見たかったのだが、そんな観客はお呼びでないらしい。スピルバーグが呉れたのは、最後に付け足しのように言わせた台詞だけ。
言葉以外のもので表現するのが良質な映画だと思っていたのだが、スピルバーグはそうは思わないのだろうか。