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2015.08.23

「彼は秘密の女ともだち」

かなり作為的なプロットなので、そこは目をつぶって受け入れる必要がある。
また、プロットの説明のために、最初、かなりの尺が使われて、その説明的な部分は少し退屈だ。

さらに前半、顎は割れて突き出ているわ髭の剃り跡は青いわの彼が、ウキウキ気分で女装して、ショッピングやら食事やらするのを見ているのは、正直、苦痛だ。

という具合に、いろいろ辛抱が必要。

しかし、それを乗り越えると、性別に関する微妙なあれこれを見ることができる。
本音を言えば、よくわからないのだが、少なくとも、フランソワ・オゾン監督がどう考えているかは、そこはかとなく伝わってくる。

これはおそらく、監督が、世間に対して、ゲイというものを少し認めさせるために作ったと見てもいいような気がする。作品では、ゲイの主人公が、お決まりの交通事故で意識を無くし、目覚めるために女装(というか。彼を女として呼ぶ声)が必要だったという流れをつくって、コントロールしている。

そうまでされては、彼の内なる女性性を、否定するわけにもいかないだろう。否定はすなわち、彼に死ねと言うのに等しいのだから。

かなりあざといやり方だが、ともあれ、エピローグで女装の彼が自然に画面の中に存在できるように仕組んで、世間の偏見を、自身もゲイであるとカミングアウトしている監督が、一歩押し込んだ格好になった。

まあ、そういう作品ということで。

Pic12

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