「進撃の巨人 実写版前編」
原作は2巻くらいまでしか読んでない。巨人がいる閉塞した世界で、限界を打破しようともがく若者群像、という設定が面白いなというくらいの印象。
その巨人の映像が、凄かった。
ゴジラを凌ぐ、と言っても過言ではない。
この監督はこういうのがうまい。
が、残念なことに、脚本、演出、役者の演技が、その凄さに追いついていない。
なので、凄いところと、ダメなところが混在して、見ているとストレスがある。
「のぼうの城」のときは、原作の物語の力や役者の技量と、特撮とがいい塩梅に組み合わさっていた。それに比べて本作は、技術的に少し未完でアンバランスな感じがある。
このれはおそらく、様式がないためだ。
凄い巨人の描写に見合う、枠組み・様式があれば、描写力はもっと生きる。
様式の不在は、エンドロールの音楽にもよく表れていた。作品のごたまぜ感が、そこに端的に出ていたように感じられる。
一方で、このアンバランスは、巨人がいる世界の浮世離れした感じを、うまく浮き彫りにしたと見ることもできる。なかなか感想をまとめるのが難しい。新しさを孕んだ作品は、そういうものなのだろう。
後編は、上映後の予告を見る限りでは、陳腐な人間ドラマになりそうで、少し心配だ。