「海街diary」
なんだか久しぶりに日本的な情感溢れる作品に触れた気がする。
日本的というか、むしろ昭和的という方がいいのだろうか。
ハリウッド映画は確かに面白いのだけど、落ち着きがなくて、
常に追い立てられているようなところがあって。
それに比べると本作のなんとゆったりしていること。
江ノ島~鎌倉という舞台もよかった。
毎年漬けるほど大きな実が取れるような梅の大木と庭が残っている
風情にぴったりだ。
4人姉妹という設定も、こうでなければ、この空気感は出ないだろう。
全てがあつらえたようにしっくりくる。
外界との関わりから生まれる波乱の間合いもよい。
末の妹が抱えた重荷が通奏低音にあっても、それを表に出さずに
周囲の人たちの日常と生き死にを順繰りにほどよく描いていって、
最後に雪が自然に解けるように、4女の心のしこりも解けて、
お話はひと切りがつく。
子育てシーンが出てこないのが少しだけ残念だが、
続編を作るとすればそんなところだろう。
この作品はこれでよい気がする。
春以降、これはという作品に恵まれていなかったが、
数か月ぶりにいい映画。