4DXを体感してきた。「MAD MAX FURY ROAD」
「MAD MAX 怒りのデス・ロード」。2Dで既に見たのだが、あんまり素晴らしい出来で、珍しくもう一回行ってもいいかと思っていたところに、4DXで見たという人の話を聞いて、我慢できずに見てきた。いや、体感してきた。
映画を劇場で2回以上見るのは、「アバター3D」以来のこと。
この4DX、結構すごい。映像はもちろん3Dで奥行き感ばっちり。音響も普通の2Dに比べるとかなり立体的で音量も適度に大きい。
椅子が、遊園地のアトラクションのように揺れて、初め慣れないうちは思わずハーネスを探してしまった。
さらに、シートがびりびり振動したり、背もたれから突起物でごりごり突かれたりする。マッサージチェアなのかと(笑)。
スクリーンの脇からフラッシュライトが点滅する。スクリーン下からは白煙や黒煙がもくもく上がる。字幕がときどき見えなくなるくらい。
耳の後ろから空気が吹き付けられる。
前の椅子の背側についたノズルから水や霧が吹きつけられる。
足の間にビニールのチューブが出ていて、これは何に使われるのか、今回はわからなかった。匂いかな?
一番効果があると思ったのは、やはり椅子の振動だろうか。「MAD MAX」ではマシーンの地響きが随所にあって、それにあわせて椅子がびりびりするのは臨場感があった。
ということで、いいことずくめのようだが、ちょっと難点もあることに気付いてしまった。
激しいアクションのさなかでも、人物の表情や風景に注視したい瞬間がある。優れた作品には欠かせない「間」だ。意図的にストップモーションにする場合もあるが、多くは、何気なくシークエンスに挟み込まれて流れ過ぎていく。激動の中で訪れる一瞬の静寂。
その「間」が、この作品にはあって、良作だなと思わせていたのだが、それを感じるべき瞬間にも、4DXシステムが全力で刺激を送ってくるので、かえってそれが邪魔に感じるときがあった。
特にフラッシュライトは無い方がいいかもしれない。一例をあげると、砂嵐の中を雷光に包まれてひた走るウォータンクのシーン。神話的な美しさを漂わせているのだが、それを感じ取る間もなく、フラッシュで視覚をつぶされてしまう。演出過剰だろう。あそこは、荒れ狂う嵐の中で、むしろ黙示的な何かを感じ取りたいところなのだが。
ほかにも、フュリオサの微妙な表情を味わうべき瞬間に椅子がぐらりと揺れて、気が逸れてしまうシーンなどもあった。
先に2Dで観ていたから、比較してわかったことだ。たぶん、4DXだけ観ていたら気付かないようなところだろう。
といったようなことなどもわかって、なかなか有意義な体験でした。
2700円は少々高いけれど、一度は体感する価値あり。