「ニュー・シネマ・パラダイス」
いまさら言うまでもない名作。デジタルリマスターのお陰で、映像的にもまったく問題を感じない。
映画館の映写技師と少年との交流を温かく描く。時代背景の移ろいがそれに絡んで、古き時代への郷愁を匂わせる。「ふるさとは遠きにありて思うもの」と言ったのは室生犀星だったか。
それと同時に、さりげない伏線から、最後に、映写技師が少年に遺した贈り物が、胸を打つ。時代を経てなお感動を呼ぶのは、こちらの不変の価値の方。
フィルム・映画・町の映画館という郷愁と、その媒体で表現された普遍的な価値とが、一本に縒り合されて、充足感で満たされる。
同じく名作とされる「スタンド・バイ・ミー」は、私はあまりピンとこなかったが、同世代の遊び友達を多く持っていたかどうかの違いなのだろうか。
ともあれ、本作はいまも全く古さを感じない。不朽の、という言葉がふさわしい。