「イミテーション・ゲーム」
第二次大戦でドイツ軍が使った暗号「エニグマ」を密かに解読して、戦争を勝利に導いた人々のお話。チューリングといえば、チューリング・マシンの考案者として名前くらいは聞いたことがあって、でも名前くらいしか知らない、というところで、その一生について大雑把に知ることができた。
いまでこそ、エニグマ解読の話は有名だけれど、戦時中はもちろん、その後50年以上も国家機密だったそうな。そのあたりの事情は、映画の中で詳しく語られているので、見てのお楽しみ。
ガチャリ。 ガチャリ。 ガチャリ。 と重々しい音を立てて動く、機械式コンピュータが、時代の雰囲気を伝える。wikipediaで見る実物の写真とは、かなり印象が違うけれど、実物に忠実に再現されたものだそうだ。ローターを使った電気機械式の感じがよく出ていた。
映画の中では、electric brain, digital computer と呼ばれているが、digital computer という言葉はこのころからあったのだろうか。そこは少し違和感があった。
ともあれ、その固く冷たい機械式コンピュータを作り出したアラン・チューリングの内面が、機械とは正反対に、繊細で柔和だというのは、少し驚きだった。実際のいかつい顔からはちょっと想像できない。天才だから、まあそういうものなのだろうとは思うけど。
カンバーバッチが、そのあたりを余すところなく演じていて、見事。天才を演じる天賦の才があるとしか思えない。公式サイトのプロダクションノートに彼のコメントが載っていて、さもありなんと思う。
人工知能誕生の入口にいま立っている我々が、その原型の祖型ともいうべき機械の誕生を知ることができる、タイムリーな作品でした。