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2015.01.25

「ランダム 存在の確率」

ネタバレ厳禁なので多くは書けないが、SF要素をうまく使ったスリラー。結末はハッピーエンドとは言えないが、途中経過が飛び抜けて面白い。以下ネタバレは、観る前に読んではいけません。


「アバウト・タイム」が、やはりSFを小道具に使って、心温まる家族のドラマを完成させていた。本作も、SF要素の使い方がうまい点は同じ。しかしこちらは、少し胆が冷えるスリラーの味付け。それも、音響や映像に頼らない、謎解きとストーリーの力で醸し出す恐怖。

ある程度予想がつく真相に、なんだ大したことはないと安心していると、その奥に隠れていたもっと怖い真相に突然気づいて、胆が冷える。この恐怖は質がいい。

とはいえ、それだけなら、普通のスリラーで終わるのだが、この作品は加えて、人生の選択肢を、それぞれが選んできた結果として今があることを、やりきれない思いとともに描いている。結末に向かって、登場人物の一人が、あり得たかもしれない幸福を探し求めて彷徨う様は、見ていて切ない。まさにシュレジンガーの箱の中の猫。このパートがあるお陰で、作品の陰影がぐっと濃くなった。

そして結末。悪夢の一夜が明けた陽の光の中。箱は開けられた。
どんな現実が待っているかは、見てのお楽しみ。

こういう面白い作品が、全国で上映館1館だけというのは、とても残念。

Pic03


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