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2014.12.31

「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

アムステルダム国立美術館を検索すると、日本語のサイトが出てきて、たいへん親切。その写真のすぐ下に、「入館チケットをオンラインで購入」とかの押しやすそうなボタンがさりげなく置いてあって、amazonで癖になっているので、ついポチりそうになる。

おいちょっとまて。チケットは気楽に買えるけど、いつどうやって地球の反対側までいくんだ? という罠。(笑)

それはさておき。
この映画は、オランダの至宝とも言える数々の美術品を収めた国立美術館が、大規模な改修の案を巡って、市民との対立を招き、10年もの長きにわたって閉館を余儀なくされるものの、紆余曲折を経て生まれ変わる、そのお話を取り上げたドキュメンタリー。

日本でも、神宮外苑に新国立競技場を建てようという話があって、揉めているそうだけれど、共通する事柄、異なる事情、それぞれあって興味深い。オランダという国の人たちの議論好きな様子なども伝わってきて、面白い。

館長(途中交代含め2人)、建築家、内装会社、市民団体代表、行政、いろいろな人たちが入り乱れて、泣き笑いのある、案外人間味のある作品になっている。

彼らは、辛抱強く、しかし核になる主張においては妥協せず、議論を重ね、時にはいろいろずるい手も(お互いに)使いつつ、ついには、ほぼ誰もが納得できる妥協点を見出していく。とうとう完成まで漕ぎつけたときの、彼らの晴れがましい顔を、観ている方も嬉しくなる。

翻って、東京のど真ん中に建てるという、新国立競技場だが、行政の隠蔽体質やら、案を審査した建築家が終始、説明責任から逃げ回っている様やら、市民の方も言うだけで具体的な手段を組織して行使しないことや、いろいろ比較してみると、残念な点が多い。事情や規模が違うということはあるにしても、彼我の民主主義の理念と制度、いずれにおいても、大きな差があるのは感じざるを得ない。
東京の住人としては、7年後に、この映画に映った人たちのような晴れがましい顔を見せたいものだが・・

まあ、前向きにとらえれば、それだけこの映画は、地球のこちら側で、見る価値があるということだ。
90分程度と、そう長い作品では無いので、年末年始にお暇な方にはお薦め。

Pic01

Pic03

昨年の年末年始は「フォスター卿の建築術」があったけど、この時期に建築を取り上げるのがパターンになったのかな?

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