「天国は、本当にある」
日本語タイトルを見て、宣伝文句を読むと、これはパチモンかと思うのが人情というもの。しかし、観てみるとこれが相当いい。以下ネタバレ。
アメリカのど田舎のおおらかな暮らしの中で、神の存在を素直に信じながら暮らす、普通の人々の日常風景が描かれ、それだけで結構癒される。
主人公の牧師の男が、保守的な土地柄にも拘わらず、なかなかキュートでスマート。奥さんと小さい子供たちも絵に描いたような可愛らしさで、幸せいっぱい家族。
お金を除けば、何不自由ない生活に、降ってわいたような子供の病気。思いのほか大病で、手術の末になんとか生還する。それからというもの、この子が、自分の手術の間に幽体離脱して見てきたという天国の様子を、折に触れて口にする。それが、子供が知るはずのない下界の事実を含んでいたりするものだから、両親はおおいに困惑。
牧師、という職業にとって、これは扱いに困るシロモノだ。神はいる、などと説教しても、もちろん見たことはないわけで、それが単なる事実として存在してしまったら、信仰もへちまもない。
礼拝に訪れる信者にも、この迷いが伝染する。教会関係者は、天国を見た男の子のエピソードが、マスコミに利用され、信仰を見せびらかす風潮が広まるのを恐れ、牧師を解任しようとする。牧師ピンチ。
紆余曲折の迷いを経て、マスコミと満員の礼拝者が集まった、ある決定的な週末、彼はついに迷いを吹っ切って、決然と、確信に満ちて、説教をする。この説教が、ちょっと感動もの。ここまでもってくるエピソードの配列もいい。
感動が最高潮に達したところで、最後に神様からちょっとだけ、わかる人にだけわかる贈り物。ゲーム機でも人形でもないけれど、最高に尊いもの。
商業クリスマスの浮かれた不浄な(笑)空気のあとで、こういう映画を見て、心が洗われます。"open mind" の意味が深くわかる。
仕事関係など、悩みや葛藤多き人に、ぜひお薦めしたい一本。