「悪童日記」
原作小説は三部作だそうで、その第一部の映画化。ひと月ほど前に見たのだが、何を書き残せばいいのか迷う。以下ネタバレ。
少年たちの口数の少なさが基調を成している。話し言葉の代わりに、彼らがつけている日記が、心象風景を雄弁に語る。
背景は欧州の戦争。子供たちの日常にも大きな影を落とす。悪童というタイトルは、平和な日常の中で手に負えない様を指すけれど、この作品では、日常の方が手に負えない。少年たちはむしろ、環境に適応しているだけとも言える。日本の疎開と同じだ。畑から芋を盗むなど当然で、そうしなければ飢えるだけ、のような環境で、平和な時代の常識は通用しない。
とまあ、それだけの映画ではあるのだが・・
二人の少年を演じる子供たちは、ずいぶん苦労して探したあげくに見つけたそうだ。台詞をあまり話させなかった演出もあって、押し黙った眼が場の空気をうまく作っている。
少し素直すぎる感じがするといったら、欲張り過ぎか。