「渇き。」
過度に露悪的で過度に暴力的。「告白」のような切れも驚きもなく、力押しのドタバタがダラダラ続く。ヤマなし意味なしオチもなし。音と映像と演技は過剰だから、見ている方は単に気分が悪くなるだけ。
いろいろ社会の問題らしきものを詰め込んでみせているようだが、ピンとこない。
とはいうものの、ここ1週間のうちに、タイムリーに池袋で車の暴走事件、新宿で女子大生の集団昏倒事件があったばかり。この映画を地でいっているような。
別に今日始まったことでもないって?
わけ知り顔で言う者もいる。
巷の映画評では、この映画は見る人を選ぶそうだ。
この世界観とやらが、ぴったりはまる人も、世の中にはいるらしい。
笑えない。
でも小松菜奈はよかった。
(追記)
それだけだと、映画代が無駄になった気がして癪なので、これをネタに少し考えてみる。
この映画は、規範を全て取り払うと何が起きるか、という実験をしているように見える。
たいていの作品は、あるいは論考でもいいが、何等かの規範を想定して、それとの葛藤を取り上げるのが常道だろう。そこに緊張や弛緩が生まれて、物語になる。
これは、それをなくしてしまえということだから、物語がない、緊張がない、葛藤がない、つまらない、という評は正しかろう。さらに言えば、この作品に世界観という言葉で表される概念を求めるのは、そもそも間違いだ。
エンディングの雪の中のシーンは、取り払ってしまったものを取り戻したいのに、それはもう無い。という状況を描いている。無くしたものをいつまでも探し続ける焦燥と疲労。
そんなところか。