「ブルージャスミン」
ウッディ・アレンまでが、格差問題みたいないけ好かないテーマを取り上げるなんて。いや、違うのかな?
以下ネタバレ。
これが、格差のお話だと思うのは、大事な金を巻き上げられた妹の旦那が、終盤のここぞというときに再登場して言う決め台詞があるからだ。
「騙された方はそう簡単に恨みを忘れやしない」。その台詞は誰を代弁しているのだろう。というと、なるほど格差が問題化しているのかなあと、思ったりもする。
では、この作品は、お金持ちが転落するの見て溜飲を下げる類の映画なのかというと、そうでもない。
確かに、旦那の金融詐欺で成り上がったセレブ奥様の、虚飾と転落が大きな材料ではある。けれども、ここではそれに加えて、社会の底辺近くで暮らす妹の暮らしぶりも同時に取り上げ、同程度の描き込みをしている。
いやでも比較対照が目に付くわけだ。
金持ちの鼻持ちならなさと、貧乏人の救いがたさは、結構いい勝負。
金持ちは、意識高い系な分、挫折のダメージも大きい。リスクヘッジすればいいのだが、この奥様はそれほど賢くはなかった。教訓:賢くあれ。
貧乏な妹の方はというと、清貧とはほど遠く、たくましいといえば聞こえはいいのだが、むしろ、小さくいく分、失敗もリカバーしやすいだけ。もっと下を見ればまだまだいける、という下り坂が見えてくる。教訓:理想は高く。
なるほど、ここで共通しているのは、「転落」か。愚かさと目線の低さがそうさせる、とでも言いたげだ。ウッディ・アレンという人は、知的な皮肉屋なのだろうな。
ケイト・ブランシェット、たいへんようございました。壊れていく感じがよく出ていて。
この前見た「8月の家族たち」のメリル・ストリープに続いて、またまた壊れる女に胆を冷やしました。
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