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November 2013

2013.11.24

「ばしゃ馬さんとビッグマウス」

脚本家を夢見て果たせず、次の道を模索する、元若者の苦悩を描く。つくりものにありがちなハッピーエンドでも希望でもなく、かといって絶望でもない微妙な線を突いて、現実感をもたせた作品。以下ネタバレ。

例によって麻生久美子を見に。主演カップルの男性の方がアイドルさんだったようで、観客は女の子が大多数。きょろきょろせずおとなしく鑑賞してそそくさと退散。

どうやって夢をあきらめたらいいのかわからないと言って泣きじゃくる主人公が、リアル。才能と運と人に取り入る能力を要求される世界で、生真面目で内気な努力家に成功の目は薄い。それでも夢をあきらめきれず30なかばまできてしまった女には、それ以降の選択肢は確かに少ないかもしれない。もっとも、この主人公の場合は、実家が自営で、それを手伝う第1.5の人生という救いは残っている。

麻生久美子はもうベテランと言っていい年齢だろうけれど、大役を務めることなくここまで来た。その現実と映画のストーリーとが少し重なるのが残念。つんけんした我の強さのような空気を振りまいているのが足を引っ張ったのだろうか。などと失礼な想像をしてみたりする。本当はどういう人なのか、一般人にはわからないことだけれど。

観客の目から役者さんとして見ると、華はやや少ないから主役としては一般受けしない。一方で、脇役に収まるには美人で目立ちすぎる。こういうユニークな人がはまる役柄というのは、案外少ないのだろうか。
いや、暴言はそれくらいにしておこう。

グッモーエビアンなんかはよかったけどなあ。ああいう、頼れる大人で影と過去のある美女で若者をサポート、という役がいいのかも。

私はこの女優さん、好きだけどなあ。


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2013.11.23

「キャリー」

主人公のキャリーよりも、その母親の妄念が怖ろしい。以下ネタバレ。

最初の作品も、続編ともに見ていないので、なんともわからないが、これは怖いといより哀しい映画に見える。超能力が暴発するクライマックスで、女性教師の”処遇”(笑)にそれが表れている。恐怖の演出としては大甘だが、別の意味を持たせているのであれば、それもありなのかもしれない。でも宣伝で「悪魔は何度でも蘇る」などと言っているのだから、やはり恐怖を前に出す方が妥当だったのではないか。

この作品があまり怖くない理由には、時の流れも影響しているかもしれない。「クロニクル」がそうだったように、いまや超能力はありふれた小道具。少なくともファンタジーの世界では、人々の恐怖を煽るような不可知性を既に失っている。だから、恐怖を演出するのであれば、別の手法をとらなければならないのだが・・・

とはいえ、母親役のジュリアン・ムーアはぞっとするほど怖い。理解を超える現象を前に、プレッシャーのあまり正常さを失って久しい人間の、それでもなんとか平常を保とうとするこわばった顔。

クロエ・グレース・モレッツは、憎悪の表情はあまり上手くなさそう。可愛いすぎるのが邪魔になっている。それに比べると、憂いを含んだ表情はとってもいい。

そんなところ。

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クロエの、影のあるジェダイ姿はきっと似合うだろうなあ。早く見たい。

まあ、実際はこんな感じみたい。
chloe grace moretz funny moments mix

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2013.11.19

雑記131119


ビットコインが840ドルに!

財務省は仮想通貨が特に現在の法体系の中で空白になっている部分を露呈してしまう危険はなく、現行法でも仮想通貨を規制してゆくことは十分対応可能としています。また犯罪行為を助長することなく仮想通貨の良い面を享受することは可能であるとしました。
日本の財務省はどう言うかなあ・・

でもこれで、ゲーム内通貨がこの種のもので統一される可能性は出てきたわけだ。


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2013.11.16

「マラヴィータ」

マフィア映画はほとんど見ない私でさえ、思いきり楽しめる。日常のちょっとしたいらつきやむかつきを、思い切りのいい暴力でスカッと解決。わけありの元マフィアとその家族を、コメディタッチで描く傑作。

イラッやムカッに、共感できる材料をもってきて、コメディの味を澄んだものにしている。あげくに、追手のマフィアとの派手なバトルが、家族の絆を深め、子供たちの成長物語にもなり、ドラマの要素もしっかり組み込んで、満足度の高い仕上がり。以下ネタバレ。

恐るべき正体を隠して田舎町を転々とする一家。追跡者に居場所が露見して襲撃を受けながらも返り討ち。どさくさに紛れて次の隠れ家へ遁走。これで思い出すのは、吸血鬼一家の物語。そのドラマ性で瓜二つといえる。

黙っていても楽しいそういう骨組の上に、この作品はコメディの味付けを大盤振る舞い。泣く子も黙るマフィアのボスと、いまではFBIの保護下で身をやつす、しょぼくれた、しかし心優しい夫でパパのイメージギャップを、デニーロが如才なく演じている。田舎の人たちのあけすけで罪のない暴言に、思わずキレて本性を現しそうになるデニーロに、FBI役のトミー・リー・ジョーンズがタイミングよく釘を刺すあたりがコメディの基本パターン。家族の面々もそれぞれ、マフィアの特技を存分に発揮しながらも、憎めない人間味を出している。

妻役のミシェル・ファイファーが、手作りのイタリア料理で、FBIのスタッフと仲良しになっていたり、デ・ニーロが自伝に登場させるFBIの記述に手心を加えることで、ビジネスライクなはずのFBIと取引したり、マフィアとFBIという、本来は緊張関係にあるはずの両者間にも、妙に緩いつながりができていて、この元マフィア一家の人間味を窺わせる。子供たちも同様、侮辱に対しては容赦なく暴力で報復する一方で、普通の思春期の恋の悩みや自立への欲求など、思わず応援したくなる面を見せる。それがたとえ、マフィアとして「水に手を浸す」ことになるとしても。

マフィア映画が好きでも嫌いでも、これは文句なく楽しめる一本でした。

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※マフィア映画らしく、暴力シーンは多めですのでよろしく。

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「悪の法則」

殺伐とした世界設定の中で、ストーリーよりはキャラクタを見せる。比喩的で難解な会話の中に味わいを見出す類の、大人の映画。見て気分のよい作品とはいい難いが、さすが一級の役者を揃えただけの効果はある。以下ネタバレ。

この世界観に似たものを、どこかでみたことがある。「No Country for Old Men」だ。徹底的な弱肉強食の世界の中で、その非情を知らず、あるいは甘く見た挑戦者たちが、次々に滅んでいく様を描いていた。それでも、「No Country ・・」には、老保安官をうまく絡ませて、多少の救いを持たせていたか。本作にはそれもない。

原題は"COUNSELOR"だが、法律顧問というものが、知恵者ゆえに、先進国の近代的な社会とは異なる国の無法な側面を甘く見ている様子を描き、その破滅を醒めた目で追っている。

甘く見ているのは、法律家だけではない。金に貪欲で違法な取引に手を染める男、金は人並みに欲しいが命の方が大切だと知っている男、仲間の二人いずれもが、自分だけはその世界の非情さの餌食になるとは思っていない。想像力が欠けていたり、逃げ足の速さに自信があったりで、内心見下している法律家と自分とが、五十歩百歩であることに気付かない。

その彼らから見てもさらに大甘なのが、この話の主軸になるCOUNSELOR。愛する女に求婚し、身の丈に合わない指輪の費用をひねり出すために、悪人どもの話に乗ってしまう。危地に陥っても、真実を話せば法律が自分を守ってくれると信じている彼を、仲間の二人は憐れみとも蔑みともつかない態度で突き放している。

罠が発動し、それぞれに逃れようとするが、この世界の非情さは、獲物の弱点を容赦なく突くところに表れる。命の危険が迫っていても、とりあえず酒と食べ物の方を優先させる強欲な男。逃げ足に自信はあっても女には目がない点を利用されて情報を巻き上げられとどめを刺される自信過剰な男。そして、求婚相手という致命的な弱点をはじめから持っている男。それぞれの破滅を見るのが、この映画の見方だろう。

法律家が、求婚の指輪をダイヤ商から買うときに交わす会話が、意味深だ。「完全なダイヤとは、透明な空気と同じ。不純物が入り色がついて、はじめてダイヤは価値を持つ。人はダイヤの欠点だけを見て価値を決める」

それぞれに破滅する男たちの欠点こそが彼らの価値であり、それが破滅のトリガーでもある。つくづく嫌な映画でした。(笑)

ハビエル・バルデムとキャメロン・ディアスは、比較的わかりやすい役柄。極端に吹っ切れているので、特色を出しやすい。それぞれに役者の個性にもマッチしている。その線に沿って最大出力でOK。

凄いのは、ブラッド・ピット。彼が演じる男は複雑だ。悪事に手を染め大金を稼いでいながらも、いざとなれば金を捨てて命を拾うことのできる醒めた男。同時に、常に何かに怯える臆病な男であり、それを他人に悟られないように、冷静沈着に見えるように気を使っている。最初の登場場面の、ちょっとした表情と仕草だけで、この男の内面の複雑さを、的確に伝えている。こういう人物像の表現は加減が難しいはずだが、それをあっさりやってのけている。彼の凄さは、これだけのスターが揃った中でも、ひときわ目立っていた。

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[追記]
公式サイトを見ると、脚本を書いたコーマック・マッカーシーという人は、実は「ノーカントリー」の原作者でもある由。
どうりで同じ匂いがしたわけだ。

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お台場モーターパレード

ダイバーシティの百円ショップに台所用品を買いに行ったら、交通規制をしておりまして。マラソンか何かかと思ってプラカード持った警備のスタッフの人に聞いたら、東京モーターショー関連で、モーターパレードというのがあるそうな。
んで、道端で車を見た。

フジテレビの前に特設の進行台から、にぎにぎしいアナウンスなど流れて、先導者が・・一瞬で目の前すっ飛んでいきました。オープンカーで誰か手を振ってたようだけど、写真撮る間もなく。時速100キロは軽く出してたな。確かに高性能車のパレードだから、速いのが見せ場なわけだけど・・速すぎてわかりませんでした。

さすがに、パレード本体はもう少しゆっくり走ってくれて。

ゼッケンナンバー1番。なんかかっこいい車キター!
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続いてナンバー2番。なんかかっこいい車またキター!
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いよいよ真打3番サイコーにかっこいいのキター! クロネコヤマ・・ん?
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いや、始まったばかりなので、配達中の車がまだコース外に出きらなかったようです。

続いてレース車っぽいのやバイクも。
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レトロな車なんかも。左のは、海外のレースに初めて出場した日本車だとか。ダットサン。ダッツンZ伝説の先触れね。
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レトロと現役の間くらいの車も。トヨタの数百台くらいしか作られなかったという名車に、スカG伝説のスカイラインに、ミゼットもキター!
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これは、日本で最初に公道を走ったバス、だそうです。
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これが気になる。こういうコンパクトでパワフルなのが好きだわ。後ろも一応タイヤ2つと数えてるのかしら。
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これもいいなあ、お姉さんが。いやいや車もいいですよ。
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でもマッチョなのも割と好き。つまり、どこかアンバランスでデフォルメされているものが、面白くて好きなんだな。
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もちろん、実際に買うときは、汎用性の高いアノニマスなものがいいわけだけど。
とはいえ、バイク乗りだから車はたぶん一生買わないな。あくまで、見て楽しむ。

というわけで、見物して楽しいパレードがあったよと。
ちなみにパレードだけでなく、モーターフェスというのをやっているらしい。今週末、お台場で。

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2013.11.13

「サカサマのパテマ」

少し前に「アップサイドダウン 重力の恋人」を見たばかりだったので、同じようなトリッキーな映像だろうと思ったが、設定はこちらの方が手が込んでいて、その分お話が面白くなっている。ネタバレはできないので、ざっくりした感想だけ。

重力反転の取り上げ方が、「アップサイドダウン」では面白さに焦点を当てていたのに対して、本作では、その恐ろしさを強調していた。たしかに、足元が空で、手を離せばそこに向かって落ちていくのでは、面白さよりまずは恐怖が先に立つのが自然だ。ジャパニメーションのソフトなタッチだが、描き出された恐怖はけっこうリアル。視点移動のうまさのおかげか。

その恐怖を、異世界に対する本能的なおそれを示す暗喩に使って、お話に深味を持たせていたのがよかった。親世代では失敗に終わった異世界への挑戦を、子の世代が、恐怖を克服し、妨害を乗り越えながら、成功させる。犠牲になった親世代が残した種が、思いもよらない形でその子供たちを助け、運命の綾を感じさせる。逆向き重力の世界を行き来する展開が、そのまま登場人物達の立場の逆転と重ね合わされて、ダイナミックで退屈しない。
そして最後は、驚きの結末でブレークスルー。言うことないです。

重力反転世界という同じ材料を使いながら、「アップサイドダウン」と本作とで、これほどの趣向の違いが見られるのもたいへん興味深い。映像の面白さは前者がよかったが、ストーリーは、本作の方が一枚上。

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2013.11.10

「清須会議」

こらこら、揃いも揃ってそのかつらの不自然さは何だ(笑)。でもお話は面白かった。なにより、普段はなさそうなとりあわせの、日本の主役級の役者さんたちが大集合しているのが楽しい。役者リソースをふんだんに使って、歴史上の人物像ともよく合わせている。以下ネタバレ。

秀吉サーガの人気の源は、たぶん、戦乱の世を終わらせて、エネルギーをもっと生産的で楽しいことに使いてゃーで。だから力貸してちょーよ。そんでわしも偉くなりてゃーだで、おまいさんもいい目みさせてやっからさあ。という、志の高さと俗っぽさの同居にあるのだろうと思う。吉川英治の受け売りだけど。そういう人物像がよく出ていた。大泉洋はこの筋書にぴったり。

他の面々もいい味わい。三谷幸喜の映画はいつも登場人物が多い印象だが、今回もそれぞれに個性的な配役が光っている。それを見るのも、この人の作品の楽しみのひとつ。一人を深く掘り下げるよりは、ソーシャルグラフを見せて楽しませる方向。

おちゃらけが多いのはいつものことだから、まあ目をつぶってスルーすればいいだろう。むしろ、現代語風の台詞の多さや、かつらの不自然さなどを見る限りでは、この歴史上の重大会議を、現代の会議になぞらえているふしもある。

「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で云々」というガテン系の主張に真っ向異を唱えて、「世界を動かしているのは会議と政治なんだよボク」と言いたいかのようだ。もちろん、両方あって世間は成り立っているわけだけれど。と逃げておくのが、無責任な第三者の定石。

この監督らしいエンタテイメントで、上々の出来の一本でした。

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2013.11.03

「セイフヘイブン」

穏やかで幸せな恋愛映画に、少し影を絡ませて感動を深めた良作。ハッピーエンドで明かされる、ある意外なことに、ちょっと泣けるのもいい。上映館が少ないけれど、もっと多くの人に見てもらっていい作品。本年いまのところのベスト5に入りそう。以下ネタバレ。

あっと思わせる瞬間が二度あって、おアツい空気の恋愛映画とは少し違う味わいになっている。このカテゴリの作品を見慣れている人にとっては、お馴染みのパターンなのかもしれないが、私は、その意外な瞬間が映画を立体的にしていて、とてもいいと思った。

原作者は、「君に読む物語」と同じニコラス・スパークス。恋愛ものらしからぬミステリアスな背景設定、じっくりと愛が熟成していくストーリー展開、あっさりした、少し泣ける後味のよさ、諸々が、乾いた都会暮らしの心に沁みてくる。この作家さんは男性だそうだが、バランスとセンスのよさが感じられる。

舞台になる海辺の小さな町の雰囲気もいい。石の街に住む人間の憧憬をかき立てる自然の風景に、ボートに釣り具に桟橋、砂浜、自転車に並木、小さな港、木造の雑貨屋、森の中の小屋、などなど、道具建てもそろっている。湖沼地帯を思わせるような、美しく入り組んだ水路まで登場。もうたまりません。これが、あちこちのロケ映像をつなぎ合わせたのではなく、ノースカロイナ州サウスポートというところに、自然に全部あるらしい。うらやましいかぎり。

主役の二人、ジュリアン・ハフとジョシュ・デュアメル、それに子役の二人も最高。計ったようにこの物語に合う。地味だが、男の子がよかった。ジュリアン・ハフという人は歌って踊れる多芸な女優さんなのね。

監督はラッセ・ハルストレムさん。影を退けて幸福を掴むこの映画の、緊張をはらんでかつリラックスした雰囲気を、力まず緩まず破綻なく作り出してくれました。素晴らしい。

いいなあ。ほんとこれはいい映画だわ。

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