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2013.10.13

「トランス」

映像と色彩のキレ、ストーリーの鮮やかな切り替わり、曲者揃いのキャラクタの魅力、舞台装置がつくりだす場の張りつめた空気、残酷な中に美しさを潜ませた、あるべき結末。そしてほっとさせるエピローグ。カッコいい映画を見たなあ、という満足感に浸れる。催眠療法というものに効き目があるという前提を受け入れられれば、これ以上はないエンタテインメント。以下ネタバレ。


ものごとの事実はひとつしかないけれど、一連の流れの中の断面を少しづつ、順番を工夫して見せることで、物語にするという手法。スリラーと謎解きの趣。

この作品では加えて、催眠療法という道具立てを使って、事実の断片を、失われた記憶の部分的な再生という形で取り出している。その見せ方がスタイリッシュ。

舞台となるのは、催眠療法に使ういくつかの部屋と、主要人物の住まい。それぞれ、シンプルかつ単純な色彩で統一して、場の空気感を印象付けている。

キャラクタがたいへん魅力的。物語を構成する3人がそれぞれ際立っている。主役のジェームズ・マカヴォイは最初から隠れサイコな空気を醸しているし、ヴァンサン・カッセルはいつもどおり、大人の男の中に少年を隠しているし、ロザリオ・ドーソン! 知的でエロいと会田誠がコメントしているけれど、そのとおりの出色の演技。さらに結末につながる悲しい過去も隠している。
三人が三人とも、表面の顔とは別の貌を隠して、奥行きを感じさせている。

個人的な好みで言うと、ちょいワルな感じのヴァンサン・カッセルが好きだなあ。ジェームズ・マカヴォイが強烈な映像とともに沈んでいった終章の後、エピローグで、ちょっと惚れた女に未練を残しながら、滑稽味の滲む仕草をする彼の場面でこの映画が締めくくられたのは、とても幸せなことだったと思う。そういうちょっとしたところで、映画の印象は大きく変わる。まさに、「神はディテールに宿る」

青いキーホルダー、赤いアルファロメオ、黒いカッセルの部屋、オレンジのロザリオの部屋、同じくロザリオが後日譚で見せる柔らかい黄色い壁。結局そこに落ち着いた、名画。

各々のシーンが強く印象に残る。傑作と言ってよいのではないでしょうか。

Pic03

ダニー・ボイル監督というと、「スラムドッグ$ミリオネア」がよく挙がるようだけれど、私的には「28 Days Later」の方がずっと印象に残っている。

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Posted by: freepsncodesinstantly.blogspot.com | 2014.04.11 at 06:02 AM

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