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2013.09.15

「ウルヴァリン:SAMURAI」

原題の"The Wolverine" からわかるとおり、ウルヴァリンの姿に最も迫った作品。ジーンの死から立ち直れず、隠遁生活を送っている不死身の人獣の、これは魂の再生と再出発の物語。米国から見た日本というファンタジーをたっぷり見せてくれるむず痒いお話でもある。

再生といっても、そこはウルヴァリンだから、静かな内省で納まるはずもない。アクションてんこ盛りの挙句、クライマックスはまさかの結果に。そしてエンドロールの後の驚愕のシーンが次回作への期待につながる。毎度ながら上手すぎる終わり方。以下ネタバレ。


よく見れば、これはウルヴァリンと日本人姉妹2人の、私的なお話になっている。その証拠に、それ以外は全部死ぬ。(笑)

私的だと思う理由は、姉マリコを助ける理由がそれ以外にないから。ウルヴァリンはこのプリンセスになんとなく惹かれて好意を持ったのだと思う。ローグの時に似て、正義でも人道でもなく。そしていつものように命がけで女を助けているうちに、今度ばかりは本当に命を懸けることになって、妹ユキオに助けられたりしている。絶体絶命の窮地では、姉マリコにまで助けられてしまっている。これまで、人を助けることはあっても、不死身ゆえに本当の意味で助けられたことなどないローガンが。おまけに、夢の中ではジーンに、「まーた人助けばっかりして」とかなじられておろおろする。米国人のハートをしっかりくすぐっている。(笑)

話を本筋に戻すと、再生能力を失い死に直面して、自分より弱い者に窮地を救われてはじめて、自分がジーンを救うことができたはずだという考えの誤りに気付く。それは彼の傲慢さでもあった。無敵の武器が最後にあんなことになったのは、これまでの傲慢の代償か。

同時に、お前は死にたくないか? 死にたいだろう? と日本人ヤシダに言われ、実際に殺されかけて、自分はまだ死にたくないことにも気付く。ジーンの呪縛はこうして解かれ、人獣の魂は再生する。

といっても、これほどの再起不能とも思えるダメージを受けて、再出発はできるのか、もやもやしたまま映画は終わってしまうのだが、エンドロールのサプライズで、そのもやもやは吹き飛ばされる。なるほど、そういうことになるのか。これでシリーズは無事元の無限軌道に戻りそう。


本作には、「日本」が色濃く出てくるわけだが、製作者は、日本の文化や精神風土について十分理解していると思う。マリコとローガンが隠れ家で過ごす一日の描写に、違和感は全くない。その上で、やくざや忍者などをファンタジーとして取り入れている。日本人としては痛痒い部分もあるけれど、意図的に見せているのであれば、これもありだ。

2人姉妹の役はいずれも、世界で活躍する日本人モデルさんだそうで、キャラクタに合った顔の作り方はもちろん、身のこなしから表情まで、俳優といっても通りそう。特にユキオのアクションは結構いい。スタントなのかもしれないけど・・

夏のブロックバスター映画はこれでほぼ全部見たけど、X-MENは少し贔屓にしていることもあって、一二を争う出来。ストーリーでは「マン・オブ・スティール」がよかったが、ウルヴァリンという強烈なキャラクタ(と、ヒュー・ジャックマンのはまり振り)を考えると、やはり本作が一推し。

ここの立ち回りなんか、どれだけ練習したんだというくらい。
Pic03

米国版のポスターがしぶい。
Poster2_fl


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