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2013.09.29

「ウォーム・ボディーズ」

つい先日、ゾンビと違ってヴァンパイアには人間的要素が多い、などと書いたそばから、ゾンビにだって心があるみたいな本作を見てしまうとは。笑えます。考えてみれば、ゾンビとは会話が成立していなかった。もし言葉で会話ができていたら、実は何か妥協の余地があったのかもしれない。本作以前のゾンビ映画に猛省を促したい(笑)。以下ネタバレ。

といっても、腹を空かせたサメを前にサメ語で会話を試みるのが賢い態度とは言い難いのと同様に、腹ペコゾンビ相手に人の道を説くのは無謀というものだ。ゾンビの側に相応の逡巡が要る。それを示すのが、冒頭のやや長めの映像。ここは思いっきり新鮮で笑えるところ。なるほど、ゾンビの一日ってそういう風だったのかあ。

ここでコミカルな世界に引き込まれたあとは、おかしなカップルの出会いと接近、そして冒険に付き合い、ハッピーエンドに向けて驀進するだけ。驀進するゾンビって変だが、その変さ加減が本作の持ち味。障害はもちろん、人の側でゾンビの恐怖を忘れられない人たちと、ゾンビの側でもうこれ以上ないくらいゾンビに成りきって後戻りできない人たち。いや、人じゃなくてゾンビか。

二人の恋の逃避行は、何しろ双方の陣営が鉄砲で頭を撃ち抜こうとしたり噛みついて肉を食おうというような人たちばかりだから、たいへんスリリング。絶体絶命のピンチで、ゾンビ君が身を挺して彼女を守ったことで、ついに完全に人間( ※ただしイケメン※ )に復帰という、実にめでたい終わり方。

本作の設定の巧みなところは、ゾンビを2群に分けたこと。まだ人間の姿を留めている人たちと、自分の肉まで食ってしまって骸骨に成り果ててしまった人たち。前者は、まだ人間に戻る可能性があるが、後者はもうだめ。そして、前者と人間の共闘で、後者を撃退、討ち滅ぼすようにしたこと。

やっぱり、なにごとにも、トラブルの後の円満解決には、やられ役は必要なわけで。実に人間的であります。前の恋人の脳みそ食ったイケメンを新しい恋人にしてしまうヒロインなども、まことに人間的。そういう人間味に溢れたストーリーで、人の真実を描くことに成功した一本。ほんとか(笑)。

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