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2013.09.27

「ビザンチウム」

ヴァンパイアの数ある特徴の中の、不老不死に焦点を絞って、けだるく病的な空気を醸し出している。その腐りそうな空気の中で、赤い頭巾に青い瞳が映える。以下ネタバレ。

ゾンビ映画が基本的に人間の側の視点で描かれるのに対して、ヴァンパイア映画はヴァンパイアの側から描かれるものも多い。同じモンスターでも、ヴァンパイアにはそれだけ人間的な要素が備わっているということなのだろう。

とりわけ本作の主人公、16歳の少女は、特に力が強いわけでもなく、血を吸う相手も、年老いて死の準備ができた者だけ。それも相手の了解を得て。控えめで、か弱い。孤独を紛らわすために自分の生い立ちを文章にしたためて、それを1ページづつ丸めて、バルコニーから物憂く投げる。なんかもー萩尾望都ですな。

科学が発達した現代の時代背景にもそれとなく触れている。外見の年齢相応の友達と、太陽系の模型を見上げながら、自分が生まれた時には、まだ惑星は6つしかなかった、などと、面白い視点を提供してくれる。

そんな主人公だが、不死を生きる者の冷厳な貌を、一度だけ見せる。これはクライマックスでもなんでもないシーンなのだが、それだけに、不意を突かれてひやりとする。劇中の学校の教師と同様、見ている方も一緒に凍り付く。
そういうところに、この種族の超越感が出ていて、これも立派なヴァンパイア映画だなと安堵する。

この種の映画には、人間からヴァンパイアになるシーンがひとつの見どころだが、この作品では、なかなかうまい処理をしている。なるほど、人は自らヴァンパイアに成るべくして成るのだ。

お話の展開は、テレビドラマのシリーズの初回のような感じ。必殺仕置き吸血鬼のようなあらすじになってしまいそうで、眩暈がするが、そうなったらなったで案外うけるかもしれない。

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