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2013.09.16

「アップサイドダウン 重力の恋人」

異世界に住む身分違いの恋という古典的なテーマだが、この世界が双子星であり、かつ、向こう側の星へ行っても、自分の生まれ故郷の星の重力に支配され続ける、という風変わりな設定を取り入れて、映像的な面白さを加えている。SFファンタジーとしてのイマジナティブで美しい映像と、普遍的なラブロマンスが、しっくりと融合した、稀にみる逸品。テーマがあまりに古典的なので躊躇していたのだが、見逃さなくてよかった。以下ネタバレ。

最初に二人が出会う、それぞれの世界の頂上の光景が、息をのむ美しさ。凡庸なCG映像などより、はるかにダイナミックで感動的。CG以前はこうした映像を時々見掛けたと思うのだが、道具がリアリズムの方向に進化することで、かえって人のイマジネーションは退化してしまっているのかもしれない。

お話の筋は古典だから、安心して文句なく楽しめる。加えて、どこへ行っても出身世界の重力に常に引き戻されるという設定が、二人の恋を阻む力の暗喩になっていて、二重に面白い。なにしろ、互いの手をうっかり離すと、相手は「空に向かって」落ちていくのだから。

二つの世界の一般市民の交流は、支配者の手で厳しく禁じられており、それを乗り越えていくのが、お話の流れ。それぞれの世界に、はみ出し者の協力者がいたり、官僚的な支配層が持ち得ない技術を駆使したり、なにより彼女が・・などなど、起伏の作り方もしっかりしている。そのアップダウンに要所でダイナミックな映像をぴったり重ねて融合させている。時折、現実にある様々な問題をさりげなく暗示して深味も見せている。

小品の部類になるとはいえ、話がぐだぐだのSF・CG超大作などより、よほど楽しい時間を過ごさせてくれる逸品。

監督はファン・ソラナスさん。お父さんがやはり映画監督だそう。

Pic07


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Tracked on 2013.10.05 at 10:21 PM

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