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September 2013

2013.09.29

雑記130929


アメリカンドリームの死

そういうことは、ちょっとあるかも。
実際、コンピュータで置き換え可能な仕事は、本当に多い。中間層と呼ばれる人たちは、他国の安い労働力なんかではなくて、本当は、機械との競争をしなければならなくなっている。その程度の仕事に執着していると、勝ち目は薄い。なにしろメカトロニクスは、スタートレックの「ボーグ」みたいなものだし。

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「ウォーム・ボディーズ」

つい先日、ゾンビと違ってヴァンパイアには人間的要素が多い、などと書いたそばから、ゾンビにだって心があるみたいな本作を見てしまうとは。笑えます。考えてみれば、ゾンビとは会話が成立していなかった。もし言葉で会話ができていたら、実は何か妥協の余地があったのかもしれない。本作以前のゾンビ映画に猛省を促したい(笑)。以下ネタバレ。

といっても、腹を空かせたサメを前にサメ語で会話を試みるのが賢い態度とは言い難いのと同様に、腹ペコゾンビ相手に人の道を説くのは無謀というものだ。ゾンビの側に相応の逡巡が要る。それを示すのが、冒頭のやや長めの映像。ここは思いっきり新鮮で笑えるところ。なるほど、ゾンビの一日ってそういう風だったのかあ。

ここでコミカルな世界に引き込まれたあとは、おかしなカップルの出会いと接近、そして冒険に付き合い、ハッピーエンドに向けて驀進するだけ。驀進するゾンビって変だが、その変さ加減が本作の持ち味。障害はもちろん、人の側でゾンビの恐怖を忘れられない人たちと、ゾンビの側でもうこれ以上ないくらいゾンビに成りきって後戻りできない人たち。いや、人じゃなくてゾンビか。

二人の恋の逃避行は、何しろ双方の陣営が鉄砲で頭を撃ち抜こうとしたり噛みついて肉を食おうというような人たちばかりだから、たいへんスリリング。絶体絶命のピンチで、ゾンビ君が身を挺して彼女を守ったことで、ついに完全に人間( ※ただしイケメン※ )に復帰という、実にめでたい終わり方。

本作の設定の巧みなところは、ゾンビを2群に分けたこと。まだ人間の姿を留めている人たちと、自分の肉まで食ってしまって骸骨に成り果ててしまった人たち。前者は、まだ人間に戻る可能性があるが、後者はもうだめ。そして、前者と人間の共闘で、後者を撃退、討ち滅ぼすようにしたこと。

やっぱり、なにごとにも、トラブルの後の円満解決には、やられ役は必要なわけで。実に人間的であります。前の恋人の脳みそ食ったイケメンを新しい恋人にしてしまうヒロインなども、まことに人間的。そういう人間味に溢れたストーリーで、人の真実を描くことに成功した一本。ほんとか(笑)。

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2013.09.28

「凶悪」

主役3人の男どもの怪演を見に行く映画。原作はノンフィクションだそうだが、本当かと疑いたくなるような極悪な事件とドラマティックな展開。

3人のうちの1人目、やくざの男は、怒り出すと平気で人を殺してしまう。凶悪というよりも、むしろ凶暴。近寄りたくない。それなのに、同棲している女からは人情味があると言われている。

2人目、不動産ブローカーは、金のために人を殺すことに抵抗がない。どころか、楽しんだり興奮したりする。凶悪というよりも、むしろ邪悪。同じ空気を吸いたくない。それなのに、周囲からは面倒見のよい先生と思われていて、家族があり、たぶん家ではいいお父さん。

3人目、ジャーナリスト。正義に名を借りた復讐のためなら、人を死に追いやることになんの良心の呵責もない。ためらいがないというより、悪人の死を願っている。そして、家では妻とうまくいっていない。彼を凶悪仲間に入れるかどうかが、悩ましいところ。

4人目として、電気屋の妻と息子を入れてもよい。気は小さいから積極的に手を下さないが、金のために人が死ぬことを、まあ仕方がないと思っている。自分が良ければ、そしてばれなければ、それでいい。自責の念はある。だがそれなら、1人目のやくざにだってある。


ここで、はたと気づくわけだ。おやおや、自分とは関係ないと思っていた、凶悪な人間というものが、だんだん自分に近づいてきていないか? つまるところ、凶悪な人間と普通の人間の間には、一線があるようで、実は案外曖昧かもしれない。

これは気を付けないと。迂闊なことは言えない。そういう一本でした。

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2013.09.27

「ビザンチウム」

ヴァンパイアの数ある特徴の中の、不老不死に焦点を絞って、けだるく病的な空気を醸し出している。その腐りそうな空気の中で、赤い頭巾に青い瞳が映える。以下ネタバレ。

ゾンビ映画が基本的に人間の側の視点で描かれるのに対して、ヴァンパイア映画はヴァンパイアの側から描かれるものも多い。同じモンスターでも、ヴァンパイアにはそれだけ人間的な要素が備わっているということなのだろう。

とりわけ本作の主人公、16歳の少女は、特に力が強いわけでもなく、血を吸う相手も、年老いて死の準備ができた者だけ。それも相手の了解を得て。控えめで、か弱い。孤独を紛らわすために自分の生い立ちを文章にしたためて、それを1ページづつ丸めて、バルコニーから物憂く投げる。なんかもー萩尾望都ですな。

科学が発達した現代の時代背景にもそれとなく触れている。外見の年齢相応の友達と、太陽系の模型を見上げながら、自分が生まれた時には、まだ惑星は6つしかなかった、などと、面白い視点を提供してくれる。

そんな主人公だが、不死を生きる者の冷厳な貌を、一度だけ見せる。これはクライマックスでもなんでもないシーンなのだが、それだけに、不意を突かれてひやりとする。劇中の学校の教師と同様、見ている方も一緒に凍り付く。
そういうところに、この種族の超越感が出ていて、これも立派なヴァンパイア映画だなと安堵する。

この種の映画には、人間からヴァンパイアになるシーンがひとつの見どころだが、この作品では、なかなかうまい処理をしている。なるほど、人は自らヴァンパイアに成るべくして成るのだ。

お話の展開は、テレビドラマのシリーズの初回のような感じ。必殺仕置き吸血鬼のようなあらすじになってしまいそうで、眩暈がするが、そうなったらなったで案外うけるかもしれない。

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2013.09.22

江ノ島など行ってきた


早起きして墓の掃除に出かける。朝5時発で下の道をとことこ走って6時着。なんと、石屋はもう開いている。
これまでは、どんなに早くても着くのは8時くらいだったから、これには驚いた。お彼岸は臨戦態勢、というところか。
線香と花を買って、草取り用の鎌とほうきに塵取りを借りて、掃除に行く。

今年の夏は暑かったけれど、草はそれほど茂っておらず、あっさり終わるかとおもいきや、直径1cmくらいの地下茎を掘り当ててしまって、2時間ほど格闘して汗びっしょりに。
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充実した運動の後は、少し足を延ばして藤沢のスーパー銭湯へ。汗を流した後は、昼頃までごろごろする。


午後は江ノ島へ。少し波があるが、爽快な風。

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この画像は、iPhone5のデジタルズームを最大にして撮っているのだが、以前のような荒さが目立たない。
iOS7で、画質の荒さを補正するアルゴリズムが改善されたのだろうか。カメラ機能は、これ以外にも、UIが目に見えて良くなっている。


砂浜もいいけど、海はやっぱり岩場がいい。きれいで危なくて面白い。
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私が上がってきた直後に、少し大きめの波が来たようで、腕白どもが慌てふためいている。事故のないようにね。

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楽しい一日だった。

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「エリジウム」

米国内の豊かな1%対貧しい99%の話題は相変わらず花盛りだが、99%の方が主要顧客である映画産業にとっても、これははずせない大ネタ。ギリシャ神話の極楽浄土エリュシオンから名前をとったスペースコロニーに住む豊かな1%と、それ以外の99%を巡るお話。世界的に見れば豊かな方に入る日本人のひとりとしては、これの見方には気を遣う。以下ネタバレ。

富裕層対貧困層の争いとして捉えると、この映画はかなり安っぽく見えてしまう。富裕層に独占されている超高度医療が、貧困層に解放されてめでたしめでたしで終わるというのは、ドラマチックではあるが、あまりに皮相的だろう。何であれ、サービスの普及過程は、利用者の増加と価格の低下が相乗的に拡大しながら進行するものなのであって、天から突然降ってくるわけではないのだから。映画の作り手が、主人公の想い人に、「Complicated」 だと二度も言わせているのは、まことに暗示的だ。貧富の差が拡大する理由は単純でも、それを解消する方策は、そう単純ではない。


むしろこの映画は、99%の側に属するそれぞれの、身の処し方を見るのが興味深い。カバの逸話が鍵になっている。

小さくてかわいそうなミーアキャットを背中に乗せて、高いところにある果物を好きなだけ食べさせてやるカバ。そのカバに何の利益があるのかと、主人公は小さな女の子に荒んだ質問を投げかける。逸話を話した少女は、よどみなく、「友達ができて幸せ」と答える。そこに作為はない。本当に価値のあることはそれだと、この余命少ない小さな子は、心の底から言っているのだ。ここはエンディングにつながる大切なシーンで、振り返れば、実に泣けるところ。

この場面は、まるで聖書の1ページを読んでいるかのように絵画的だ。そういえば、主人公の孤児時代の描写にも、修道院の風景が何度も挿入されていた。

シスターが、暴れん坊の少年を諭して言う、「あちらから見れば、この場所も美しい。自分の生まれたところを忘れないで」という言葉も、99%の側に、遠くの他人を羨むだけの生き方をやめて、自分の周囲をよりよくすることを考えるように諭す響きがある。


エリジウムへ乗り込んだ主人公は、そこで、頭の中の情報を読み出せば自分は死ぬことを知る。それは、地球から来た仲間達の誰一人知らないことだ。彼らはその情報を使って、エリジウムを変えるためにここへ来ている。

それゆえ、その先、エンディングに至るまでの激しい戦闘シーンは、悲壮感を帯び、強い印象を残すことになる。シスターが言ったもうひとつの話がくっきりと思い起こされる。

本作の良さは、表向きは派手なSFチャンバラのように見えて、その底に意味を持たせている点にあるだろう。この戦闘シーンは、主人公だけがそれと知る、ゴルゴダの丘への長い道のりなのだ。


たぶん、作り手はそういう話をしたかったのだろうと、観終わってから思う。宗教的、というと誤解の元だが、キリスト教色を強く感じた。

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という具合に、自分なりの解釈もできる、わりと守備範囲の広そうな一本。

それにしても、貧困層の配役がほぼ全員、メキシコ以南の中南米を思わせるのは、あまりに意図的に過ぎないか。太平洋のこちら側からも気になってしまう。オバマケアはちゃんと議会を通るんですかね。

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2013.09.20

雑記130920


ディズニーのエンジニアが歯車と棒だけで動物の動きが驚くほど自然に再現できるデザイン・ソフトを開発

すごいなあこれ。機械屋さんから見たら常識なんだろうか。

動く仕組みを見せる知育玩具にしたら、子供より大人が喜んで買いそう。


情報化社会を生き抜く能力とは?-教育の情報化をめぐって


言わずもがなだけど。

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2013.09.17

真剣に大過なく


経営企画や財務に、何故か天才的な地雷掘りがいる

検閲済みということは、当事者たちも自覚しているということで。
サラリーマンは大過なく過ごすことがなにより大切なのだから、この姿勢、この結果で妥当なわけだ。

それに、有能なプレゼンターたちがこの程度だからこそ、中小企業にも付け入る余地が残されるわけで、ありがたいと思わなければならない。

* * *

問題は、中小企業でも似たような総花方針が多いことだよなー。
ひとごとじゃないんだよなー。



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アマゾンの新提案は出版社の持つ顧客情報入手が目的か

出版社側には良いことずくめのKindle MatchBook。プログラム参加を躊躇う理由はなし!

アマゾンのこの提案の公式発表を読んでいないので、以下は推測になる。

要するに、紙の書籍を買った人の個人情報を、手に入れようという意図に見える。

紙の書籍を買った人の個人情報は、出版社が持っている。それを、合法的に入手するには、その人がアマゾンを利用して、何か購入してくれさえすればよい。その時アマゾンに登録する個人情報は、今度はアマゾンのものだ。

情報を入手できさえすれば、その後のプロモーション手法はいろいろあるから、まずは最初の関門をクリアすることが重要だ。紙の書籍購入者に、同じ書籍の電子版を安くサービスする提案には、そういう意図があるように思える。上の記事にあるとおり、書籍の著者や出版社にとって、悪い点は何一つないと思わせることができれば、前に進む可能性があるだろう。出版社がアマゾンの意図を、どの程度脅威と見做すか、注意してみたい。

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2013.09.16

mAAch ecute

旧万世橋横駅の赤レンガの線路が、商業施設としてリファインされたというので行ってみた。

初めて知ったけど、ここ須田町・万世橋駅は、昔はターミナル駅として大いに賑わったらしい。交通博物館跡にできた高層ビルの足元に、その記録がある。いまの裏通り風の佇まいとは全く違っていたようだ。写真で見ると、復元なった東京駅にそっくり。それもそのはず、この万世橋駅も設計者は辰野金吾。こちらの方が古いから、いわば東京駅の習作とでもいうべきものなのだ。
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その元ターミナル駅に来ていた煉瓦造の高架線路の下をリファインして、商業施設にしたのが、この mAAch ecute。
内部はなかなかいい雰囲気。

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ちょっと変わった仕掛けもある。万世橋駅と周辺の今昔を映像にまとめて、打ち放しの壁に投射している。この界隈の老舗商店の紹介なども最後に付け加えられている。
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2階は、元プラットホームが展望デッキと軽食屋になっていて、中央線が両側を走り抜けていく。騒音振動は全くない。ぬいぐるみとクッションで飾られたアットホームな店内が、密度の高い1階や、駆け抜ける電車の殺伐さと、面白い対比を成している。
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旧駅の基礎の遺構なども保存されている。秋葉原周辺の新しい名所になりますかどうか。駅から多少離れているうえに、整備された回廊が他の駅などへ続くわけでもない行き止まり感が、少々難しいところか。

賃料水準にもよると思うけど、せっかくお洒落に整備したのだから、テナントが長続きして活気が出るとよいですね。
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「アップサイドダウン 重力の恋人」

異世界に住む身分違いの恋という古典的なテーマだが、この世界が双子星であり、かつ、向こう側の星へ行っても、自分の生まれ故郷の星の重力に支配され続ける、という風変わりな設定を取り入れて、映像的な面白さを加えている。SFファンタジーとしてのイマジナティブで美しい映像と、普遍的なラブロマンスが、しっくりと融合した、稀にみる逸品。テーマがあまりに古典的なので躊躇していたのだが、見逃さなくてよかった。以下ネタバレ。

最初に二人が出会う、それぞれの世界の頂上の光景が、息をのむ美しさ。凡庸なCG映像などより、はるかにダイナミックで感動的。CG以前はこうした映像を時々見掛けたと思うのだが、道具がリアリズムの方向に進化することで、かえって人のイマジネーションは退化してしまっているのかもしれない。

お話の筋は古典だから、安心して文句なく楽しめる。加えて、どこへ行っても出身世界の重力に常に引き戻されるという設定が、二人の恋を阻む力の暗喩になっていて、二重に面白い。なにしろ、互いの手をうっかり離すと、相手は「空に向かって」落ちていくのだから。

二つの世界の一般市民の交流は、支配者の手で厳しく禁じられており、それを乗り越えていくのが、お話の流れ。それぞれの世界に、はみ出し者の協力者がいたり、官僚的な支配層が持ち得ない技術を駆使したり、なにより彼女が・・などなど、起伏の作り方もしっかりしている。そのアップダウンに要所でダイナミックな映像をぴったり重ねて融合させている。時折、現実にある様々な問題をさりげなく暗示して深味も見せている。

小品の部類になるとはいえ、話がぐだぐだのSF・CG超大作などより、よほど楽しい時間を過ごさせてくれる逸品。

監督はファン・ソラナスさん。お父さんがやはり映画監督だそう。

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2013.09.15

「サイド・エフェクト」

ジュード・ロウ演じる精神科医が、思わぬ罠に嵌められるサスペンス。前半でセラピーとい職業のリスクを知り、後半では患者に対するその絶対的な権力を窺うことができる。以下ネタバレ。

主人公が、学問を修めた英国を捨てて米国へ来た理由を聞かれたとき、「セラピーにかかることは、英国では病気と見做されるけれど、米国では励ましを受けることだから」と言っていたのを聞いて、セラピーというものが少しわかった気がする。「31年目の夫婦げんか」でも、セラピーという職業の不可解さを感じたが、何のことはない、変わっているのは米国の方らしい。

医者と患者の関係において、物的証拠が残らないというのは怖いことだ。双方の言い分が食い違うとき、いったいどちらを信じればいいのか。スクリーンの中の関係者同様、見ている方も困惑する。この作品は、その点を突いてサスペンスに仕上げている。

主人公は追い込まれながらも事実を積み上げ、最後には名誉を回復するのだが、そのプロセスがいかにも米国風。証拠は隠し録りした音声だけ。日本なら、手段の不法性から証拠にはならない。

心の病は薬で治せると信じすぎている点に、かなり抵抗を感じるけれど、それを前提としてみれば、本作はそれなりのミステリにはなっている。

ジュード・ロウの知的な感じは本作でも大いに発揮されているけれど、ここはルーニー・マーラのミステリアスな感じがよかったと言っておきたい。薬でぼんやりしたときと、普通の時、さらに、陰謀が露見してからの抜け目ない感じを、きっちり演じ分けている。

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「ウルヴァリン:SAMURAI」

原題の"The Wolverine" からわかるとおり、ウルヴァリンの姿に最も迫った作品。ジーンの死から立ち直れず、隠遁生活を送っている不死身の人獣の、これは魂の再生と再出発の物語。米国から見た日本というファンタジーをたっぷり見せてくれるむず痒いお話でもある。

再生といっても、そこはウルヴァリンだから、静かな内省で納まるはずもない。アクションてんこ盛りの挙句、クライマックスはまさかの結果に。そしてエンドロールの後の驚愕のシーンが次回作への期待につながる。毎度ながら上手すぎる終わり方。以下ネタバレ。


よく見れば、これはウルヴァリンと日本人姉妹2人の、私的なお話になっている。その証拠に、それ以外は全部死ぬ。(笑)

私的だと思う理由は、姉マリコを助ける理由がそれ以外にないから。ウルヴァリンはこのプリンセスになんとなく惹かれて好意を持ったのだと思う。ローグの時に似て、正義でも人道でもなく。そしていつものように命がけで女を助けているうちに、今度ばかりは本当に命を懸けることになって、妹ユキオに助けられたりしている。絶体絶命の窮地では、姉マリコにまで助けられてしまっている。これまで、人を助けることはあっても、不死身ゆえに本当の意味で助けられたことなどないローガンが。おまけに、夢の中ではジーンに、「まーた人助けばっかりして」とかなじられておろおろする。米国人のハートをしっかりくすぐっている。(笑)

話を本筋に戻すと、再生能力を失い死に直面して、自分より弱い者に窮地を救われてはじめて、自分がジーンを救うことができたはずだという考えの誤りに気付く。それは彼の傲慢さでもあった。無敵の武器が最後にあんなことになったのは、これまでの傲慢の代償か。

同時に、お前は死にたくないか? 死にたいだろう? と日本人ヤシダに言われ、実際に殺されかけて、自分はまだ死にたくないことにも気付く。ジーンの呪縛はこうして解かれ、人獣の魂は再生する。

といっても、これほどの再起不能とも思えるダメージを受けて、再出発はできるのか、もやもやしたまま映画は終わってしまうのだが、エンドロールのサプライズで、そのもやもやは吹き飛ばされる。なるほど、そういうことになるのか。これでシリーズは無事元の無限軌道に戻りそう。


本作には、「日本」が色濃く出てくるわけだが、製作者は、日本の文化や精神風土について十分理解していると思う。マリコとローガンが隠れ家で過ごす一日の描写に、違和感は全くない。その上で、やくざや忍者などをファンタジーとして取り入れている。日本人としては痛痒い部分もあるけれど、意図的に見せているのであれば、これもありだ。

2人姉妹の役はいずれも、世界で活躍する日本人モデルさんだそうで、キャラクタに合った顔の作り方はもちろん、身のこなしから表情まで、俳優といっても通りそう。特にユキオのアクションは結構いい。スタントなのかもしれないけど・・

夏のブロックバスター映画はこれでほぼ全部見たけど、X-MENは少し贔屓にしていることもあって、一二を争う出来。ストーリーでは「マン・オブ・スティール」がよかったが、ウルヴァリンという強烈なキャラクタ(と、ヒュー・ジャックマンのはまり振り)を考えると、やはり本作が一推し。

ここの立ち回りなんか、どれだけ練習したんだというくらい。
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米国版のポスターがしぶい。
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2013.09.14

三井アウトレットパーク木更津

カード会社からハガキが来て、期間限定・木更津限定でポイントを買物券に換えられるという。事業者側の引き当て処理の都合で何かあるのだろうか。永久不滅とか無理なことを言っているなあとは思っていた。

欧米流だと、引き当てではなくて前受け金という処理になるらしい。知らなんだ・・・ひょっとして、TPP絡みで今のうちに身軽になっておけということなのかな? よく知らないけど。

いち消費者としては、ポイントと交換できる商品カタログのこれじゃない感に辟易していたので、アウトレットモールで使えるという企画は歓迎。木更津はいつも南房への途中で通り過ぎるだけだったので、よい機会でもあり、行ってみることにした。それにアクアラインもいまだ激安期間中ですし。

* * *

海ほたる、改装も終わって4階がすっかり綺麗になっている。空調の効いた展望デッキは、視界全部が見渡す限りの海。土産物屋は都心のどこかと見間違うほど。バケツわかめをコンクリートの床に直置きして売っていた以前の面影はまったくない。(あれは少々どうかと思っていたヨ)。足湯コーナーまであるのはちとやりすぎの感じもあるけど。

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これは最近の流行りなのかしら。香辛料を入れたビンを買って帰って、自分で醤油を注いで、お手軽に変わり種醤油を作るらしい。同じ伝でビール!もある。ビール・・・それ美味いのかな?

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アクアラインに入ったのは7時頃だが、アウトレットモールが開くのはたぶん10時くらいだろうから、海ほたるで9時過ぎまで新聞読んだりネット読んだり海が小魚の群れで泡立ったり空中に次々飛び出す銀影を見たりして過ごす。スマホは時間つぶしには最高の友。

* * *

モールの方は、後発ということもあって施設の合理化が進んでおり、見方によっては安普請。とはいえ、回遊性のあるプランや見え隠れする道のしつらえ、広場とフードコートの配置などは、この種の施設の一つの到達点を示している。

商品は、最近はほとんどがアウトレットモール専用仕様。欲しいと思う服がなくて、買い物券を数万円分持ったまま途方に暮れる。といっても、拡幅計画が進行中のようだから、流行ってはいるのだろう。

アウトドア屋さんが比較的充実しているので、氷点下でも使えるシュラフとアイゼンをこの際買っておこうかと決めかけたのだが、どうも腹に落ちなくて、念のためもう一度地図を確認すると、まだ回っていない一角に有名ブランドが見える。

ここまで来たのだからと、疲れた足を引きずって行ってみる。店員の話によると、このブランドはアウトレット仕様というものを作っていないそうな。昨年のモデルを、割引価格で置いているとか。なるほど、それはいい手だな。

そういえば店員も、都心の百貨店の服売り場でばりばりやっていそうなベテラン。品物も悪くない。結局、秋冬のジャケットを一着買う。買い物券の範囲で収まる額でもなかったが、そろそろ新調するつもりだったので、安く買えただけよしとする。

あとでカード会社の企画屋がデータを見てにんまりするのが目に浮かぶようだわ。癪だのう(笑)。

それにしても、店員のプロぶりに驚いた。客向けに作った顔が素晴らしい。客向けではない表情をそれとなく目撃しているので猶更。あたたかみのある誠実そのものの顔、そつのない応対。他の有名ブランドの店員の地元っぽい素朴な感じと比較して、目立つ。アウトレットモールらしからぬ力の入り具合。

そんなこんなで、お買い物に満足した午前中でした。

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2013.09.08

「31年目の夫婦げんか」

たった3人だが、名優が揃って出来上がった、ハートウォーミングな映画。というと宣伝文句のようで芸がないが、まさしくそのとおりの良作。以下ネタバレ。

結婚生活31年のこの夫婦の、なんと純情で善良なことよ。ほとんど考えられないくらい。「カールじいさんの空飛ぶ家」の若奥様が生きていれば、こんな感じの夫婦になるかもしれないというような。

そんなよくできた夫婦にも、長い倦怠期があり、奥様の方が耐えかねて、勇を奮って長期滞在型のカウンセリングに申込み、いやがる亭主を引っ張っていくのがお話のはじまり。

このカウンセリングというかセラピーというか、そういうものに対する感覚が、普通の日本人である私には少し違和感があるのだが、米国では普通のことなのだろうか。カウンセラーを間に挟んだ、夫婦のそれぞれの素直さに目を瞠る。特に旦那の方が、嫌がっている割にはずいぶんフランクに、いろいろなことを話す姿には驚かされる。

カウンセラーとの会話、出される課題、滞在している町の気の置けなさ、そうした諸々が、十年一日のようだった夫婦の固く乾いた生活に変化をもたらしていく。それを見るのがこの映画の楽しみ方だろう。いまさら照れくさくて言えない、できない諸々を、カウンセラーという第三者から厳かに出題される課題をクリアする、という形を借りて乗り越えていく。そのプロセスが、泣き笑いで味わい深い。

コミュニケーションの恢復は比較的順調にクリアしたものの、老年の性に関わる課題は難渋する。ここは人それぞれ微妙なことでもあり、実際にはいろいろあるのだろう、くらいにしか言えないところだ。そこは映画なので、ひと山あるものの最後はハッピーエンド。こんな旦那、奥様を、お手本にしたいものです。

奥様役のメリルストリープ。設定では50~60くらいの小太りのご婦人だが、そこに可愛らしさを滲ませるという離れ業をやってのけている。すごい。

旦那の方のトミー・リー・ジョーンズ。保守的だが権威的ではなく、沽券を気にする中年男の裏側には、奥様一途の純情が隠れているという、これもかなりの離れ業。二人ともすごい。

そして、二人の間を取り持つ、カウンセラー役のスティーブ・カレル。詐欺師と名医のきわどい境界線を、表情だけで演じて見せている、これもすごい。役者がすごいのか、はまり役を見つけてくる目利きがすごいのか。どんぴしゃりの配役。調べるまで気づかなかったが、「エンド・オブ・ザ・ワールド」の主演男優さんでした。目立たないけれど無くてはならない役者さん。

背景になる小さな町の佇まいと、住人の温かさも、たいへんよい。本当にちょっとしたシーンが挿入されているだけなのだが、世間をあまり知らない奥様に、人の世の温かさを伝えて励ましてくれる。

夏のSF大作の切った張ったを見たあとは、こういうヒューマンな映画で心洗われてみるのもよろしいですね。

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雑記130908


国際問題化するブラック企業〜今後日本で解消どころか、ますます広がると“確信”する理由

これらの点は、番組に登場するさまざまなブラック企業に驚くほど共通する点だ。つまり問題は、それが偶然ある会社に起きていることではなく、じっくり練り上げられた経営戦略であるという点なのだ
メモ。


新しいNEXUS7を触りにアキバに行ってみた。特にスクリーンキーボードの使い心地を知りたかったのだ。
さすがに最近のは文句ない出来で、これ以上というものはなかなかないのだろうという印象。漢字変換が昔に比べて格段に進歩しているのも効いている。

んで、これを買うかどうかだが、結局買わずに帰ってきた。PCの機能制限版という、タブレットの限界・・というか特質は、やはり今の私の感覚では少し抵抗がある。

例えば、ある動画ファイルがあったとして、それを受け取ってすぐに再生してプレゼンできるか、というような場面において、PCのなんとかなる感に比べると、タブレットの不自由さが気になってしまう。つい最近、実際にそういうことがあって、やはりiPadでは役に立たないなということがあったのだ。そのときは、私用のPCで対処した。


もしタブレットを買うとすれば、その目的は、例えば電子書籍で漫画を買って読むような用途だと思うのだが、そこまでして読みたい漫画があるかというと難しい。進撃の巨人はちょっとだけ気になるけど。


そういうわけで、NEXUS7、今すぐは買わないことにした。値下がりしたら考えるかも。

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「ものがたり」と「ものづくり」の関係性

2020年東京オリンピック開催決定。

東京はもちろん、再開発が活性化するわけだけど、地方も世界にアピールしていく絶好のスケジュールができた。

オリンピックを見に東京へ来る人たちが、この機会に、あそこの地方には是非寄ってみたいと思ってもらえるように、できるといいなあ。



これは、赤の網掛け部分だけ飛ばし読みしても面白い。東京オリンピックというアーキテクチュア(フレームワーク)が始動したのは、創造的活動の環境づくりという点で意義深い。この好環境を無駄にせず、前向きに活用するように頭を使いたい。

クリエイティビティという言葉を振り回すのではなく、本質的に創造的であれ

作品そのものより、アーキテクチャ自体のほうが創造的な時代なんじゃないかと。

・・・

自分は理系だとか、自分はネクタイをしめているサラリーマンだというように、「ラベル」を貼った段階で、既に決定的に、自分の戦う空間を狭くしてしまっている。
・・・
これから求められるのは、絶対に、ルネッサンス・ボーイズやルネッサンス・ガールズです。

・・・

つまり「ものがたり」と「ものづくり」の関係性こそが、企業じゃないか

 

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2013.09.06

SIMロックの不自然さ

ドコモがiPhone 新モデル、今秋にも

これまでの日経の飛ばしは、逆に、情報を掴むのが早すぎたため、ということでいいのかな。
一応、今回も眉に唾をつけておくとして。

3社がもし同じiPhone を出すとなると、いよいよSIMロックの不自然さが目立ってくる。これまでは、端末の微妙な違いで誤魔化されてきたけど、iPhoneはどこから出そうと同じiPhoneだから、通信会社の価格とサービスがもろに比較される。にも関わらず、SIMの差し替えができないために、割高な通信料で契約してしまった方は、乗り換えできずに腹立たしい思いで使い続けるということになりそう。

え?今はSIMフリーが普通なの?

これは次の買い替え時に調べなくては。

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2013.09.04

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

映画の日に1000円で何を観ようか、というきっかけで、久しぶりに所謂アニメ映画を見た。お堅い役所がこの作品のキャラクタを使っているということも小耳にはさんで気になってもいたのだ。

興行的には健闘しているそうだと聞いて思うのだが、この作品が描くような幼馴染のグループというものは、ある程度の年齢になっても続いている人が多いのだろうか。残念ながら私にはそういうものはないので、類推と空想でこの映画を見るしかない。

お話は、そのグループの中の愛されキャラが、水難事故で亡くなってしまった事実を、残ったメンバーが、何年もかけて飲み込み、気持ちを整理していく筋になっている。そこに、メンバーどうしの惚れたハレたがあり、亡くなった愛されキャラが陽気な幽霊として絡んでおり、その愛されキャラは外国人という特殊な状況にあり、などなど、話を膨らます要素にこと欠かない。実際、よくできていると思う。20年前なら、泣ける映画だと言うところだ。

でも、幸か不幸か、もうそういう歳でもない。それに、声優の声というものの不自然さが気になって仕方がない。宮崎駿が、これを気にする気持ちが、やっとわかるようになった。普通の発声ではないのだから、おかしいと思わない方が不思議だ。

と、クサしはするものの、事故以来離れ離れになっていたメンバーの気持ちが、突然現れて何年も居ついた幽霊のおかげで、またひとつになる、それと引き換えに、幽霊も成仏して消えていくクライマックスは、やはり少し泣ける。うん、よい映画だと言っておこう。

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雑記130904

東京は久しぶりの雨で涼しくなった。


金利暴騰リスク、より深刻 伊藤元重 東京大学教授

日本国債の債務不履行(デフォルト)リスクを反映するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが高いことは気になる。
おお。煽ってる煽ってるw
突然起きる国債の金利暴騰とは違って、景気への影響にはある程度対応できる。消費税率引き上げの影響を緩和するような財政政策を導入することは可能だろう。
激変緩和措置が可能な方を採れと。


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2013.09.01

Lemson's

お台場メディアージュの入口すぐのところにあった、Plaza(旧ソニプラ)が撤退して、BEAMSが入るようだ。アパレルの方はまだ改装中だけれど、先行してアイスクリーム屋の方がオープンしている。BEAMSって最近は食べ物も扱ってるのね。

Webサイトはこちら。「Lenson's

アイスクリームの量り売りというのが面白そうなので試してみた。

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12種類のアイスを自分で好きなだけカップに盛り付け、フルーツなどのトッピングも好きなだけのせて、全部まとめて量り売り。100グラム300円也。結構なお値段になるけど、楽しさを売る商売だから、まあこのくらいか。

いろいろ考えるのね。夢売り商売なんだから、内装と家具什器はもう少し工夫したらいいと思うな。

ひとつのカップに、二人で楽しみながら山盛りに盛り付けて、スプーン二つで一緒に食べるなんてのがよさそう。

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雑記130901

9月だ。


始点に立っていても、ゴールまでの道筋は見えません

その間の道筋が全部きれいに見えてから歩き始めようと考えている人が、ゴールに辿り着くことは決してありません。

辿り着けるのは、ほのかに見えるゴールに向けて、今できることを実際にやってみる人、最初の一歩を踏み出してみる人です。

なぜなら、実際に一歩を踏み出すと、そうする前には見えなかった「その次のステップ」が見えてくるからです。

そうやって一歩進むごとに異なる景色が見え、新たな選択肢が浮かび上がってきます。それをひとつずつ進んで、ある日ゴールに辿り着くんです。

これはとても重要。

でも目指すゴール設定が間違っていたら? それはそれで、別の何かにたどり着くんだから、それでいいでしょw


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「タイピスト」

タイプライターの早打ち競争をネタにした、スポ根もの。いやスポ婚か。ひと時代前の牧歌的でお洒落な感じがよろしいです。以下ネタバレ。

美少女と鬼コーチの二人三脚で世界を狙う、といえば、もちろん「エースをねらえ!」ですよ。もうね。そっくりそのまま同じです。一応、お蝶夫人みたいなのも出てくるし。もっとも、本作では、婚活の対象がストレートで、より単純化されている点が少し違うといえば違う。少女漫画の決め技「不治の病」も出てこないので健全ですし。(笑)

世界決戦の舞台で、スポンサー企業のタイプをかなぐり捨てて、少女時代に練習した、思い出の旧式タイプを担ぎ出すあたりが、感動のクライマックスです。このマシンの打鍵部分が絡まりあって、あわやという危機を招くのだが、このときのコーチの台詞、「そう、彼女は早すぎてタイプライターの方が追いつけないんだ」という台詞に爆笑。素晴らしいセンス。

ヒューマントラストで観たのだけれど、ここしばらく、ラインアップが充実しています。本作も含むフランス映画祭特集のほか、イタリア映画祭などもあって、週末はいつも満員。テアトルシネマグループのメンバーズカードがお得。

このインテリアのスポ根感はどうよ!
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「オーガストウォーズ」

米軍がハリウッド映画でいつもいつもカッコいいところを見せて正統性を主張しているのだから、おれたちロシア軍だっていいところを見せようぜ! という気分が伝わってくる映画。ロボットのシーンがプロモーションで多用されているので、パシフィック・リムのようなロボットものと誤解されそうだが、そうではない。以下ネタバレ。

ヒロインが走るときの手首の角度に注目するのが、この映画の正しい鑑賞態度。ロシアの男性が女性に対して抱いているファンタジーがよく伝わってくる。ほんとか(笑)。

米軍の活躍が主に飛行機乗りや特殊部隊に焦点を当てて描かれる点に、その海洋(情報)覇権国家としての性格が表われているわけだが、本作を見る限り、ロシア軍の花形はやはり戦車であるように思われる。「戦車に対抗するには戦車しかない」という作中の軍人の台詞に、それがよく表れている。米軍なら「対戦車ヘリはまだか」と、必ず言うはず。どう見たって、かっこいいのはロシア軍の方。(もちろん勝つのは米軍の方。たぶん(笑))

このロシア軍の地に足の着いた感じが、たまらなくノスタルジックでよい。ヒロインの手首の角度は、このノスタルジーと対を成しているに違いない。ほんとですか(笑)。

もちろん、他国に侵攻するには空爆だけでは意味がなく、地上軍の進出が不可欠なことは言うまでもないのだが、いまや、そういう形での武力侵攻は、避難の集中砲火を浴びる時代になったのだから、地上軍ラブなこの映画が、こよなく愛おしいファンタジーに映るのは致し方ないことなのだ。

作り手もそれは承知で、地上をはいずりまわる男どもの姿を泥臭いけれどタフでかっこいいものに見せることに心を砕いている。その行動の動機が、可憐な母親の息子救出の一念を手助けするという、これ以上はない正統性を帯びている点でも、昔堅気で好感が持てる。もちろん、この映画の題材になったグルジア紛争の真実とは別物だろうけれど。

離婚問題やら経済優先の風潮やらも盛り込まれて、ロシアもご多聞に漏れずそうなのかと、感慨を抱いたりもする。あの国の世相というのは、ほとんど伝わってこないから、たとえ作りものの映画であっても情報としては価値があるかもしれない。

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