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2013.08.19

「ワールド・ウォーZ」

動きがのろくて一体ならどうということもないけれど、増殖性と不治性と不死性で恐れられるゾンビ。それがもし、のろいという欠点すら解消して、常人より強く早い動きで迫ってきたら。そういう映像を存分に見せてくれる。ほかに面白味は特にないが、対抗手段がやや捻っているところが救いか。以下ネタバレ。

それにしてもどうやって撮影したのだろうと、一昔前なら思うようなすごい映像。人間がこんな動きをできるわけがないから、やっぱりCGなのだろう。となれば、これもCG技術を使ったイマジネーションの飛翔を見せる種類の一本に過ぎないということになる。それはそれで、今の時代に確立したカテゴリのひとつだから、不満はない。

それにしても、ヴァンパイア映画同様、ゾンビ映画も、葛藤というものを忘れて久しい。昨日までの肉親や親友がゾンビに襲われて呪われた敵に変貌する、その悲痛な語りは、いったいどこへ行ってしまったのだろう。

いや、もちろんそれは「定型的に」挿入されてはいる。しかし、見る側はもう慣れてしまっていて、本作ではむしろ、その語りに別の意味を嗅ぎ付けたりしてしまう。

主人公がたどり着いた研究所の責任者が短く語る。

息子はいたとも。だが襲われた。・・・かつては妻だったものに。
ん? かつては妻だったものに息子を奪われたのかあ。。。はい。わたくしは不謹慎にも、ここでゾンビの悲劇ではなく、離婚に絡む親権のごたごたを想起しましたのです。そういえばこの映画、ことさらに家族の大切さを強調しているなあ。。いや、他意はありません。でもねえ。ピエルフランチェスコ・ファヴィーノとブラッド・ピット、どちらもプロ中のプロの演技の掛け合いの中に、すごく微妙に裏を感じさせるものがあったと、わたくしは思いましたです、はい。特にブラピのあっさりした返しの中に。(犬も食わねえよそんなもん)と言っているような。

ハリウッド映画に見られる、くどいほどの家族大事のプロバガンダと、離婚大国としての米国像とは、表裏一体なのではないかと、思わずにはおれない。

このれっきとしたゾンビ映画から、そんな連想をする方がおかしいと言われても仕方がないが、でも劇場の暗闇で思わずにやりとしてしまったのは事実。そういう自分なりの楽しみ方で、まあ満足の一本でした。

Pic01

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