瀬戸内島行記130814
今日は豊島。産廃で有名になってしまったが、その同じ島に、対極のような純化された美を持つ豊島美術館があるのは何の皮肉なのか。早朝のフェリーには、TV局の人間も乗っていて、展望デッキから島へカメラを向けている。
この島で見るべき第一は、なんといっても西沢立衛の設計による豊島美術館だ。
内部は撮影禁止なので、写真は周辺環境とアプローチ、隣の売店のみ。売店は本体のミニチュアのようなものなので、なんとなくの雰囲気は伝わるかどうか・・
海を見下ろす高台の棚田から少し降りた、木々に囲まれ落ち着いた場所に美術館はある。通常の展示作品というものはなく、空間自体を体験する場だ。
風、空、泉、静謐な空間、そういうものは、時間を惜しまず山の中に分け入れば、案外すぐに見つかるものだ。また、お椀を伏せたような空洞の天井に丸い穴が開いている空間は、世界の奇景などによく出てくるあれと同じだ。
この美術館の価値は、それらを統一して純化しているところにあるだろう。
美術館はたいへんな人気で、整理券を早めに入手する必要がある。
主目的を見終えたあとは、昨日同様、点在する屋外屋内作品を見て歩く。この島では移動用に電池駆動のマイクロカーを貸し出している。ちょっとかっこいい。
島には泉があり、貴重な水源となっているようだ。
作品は一応全部見たが、とても書ききれないので、印象的だったものをいくつか挙げておく。
豊島横尾館は、普通の民家の庭を、赤いスクリーンを通して見るのがおもしろい。全然違うものに見える。普通の風景をモノクロにするだけで、というのと似ている。
「カフェレストラン イル ヴェント」は、食事をする空間自体がアートで、この長テーブルがなかなか。
「BIgBamboo」はインスタレーションだが、アスレチックでもある。竹で組んだ空中歩廊を、実際に歩いて、空に浮かぶ竹の船に至ることができる。10M以上の高さがあり、平米あたり400kgに耐えるように作ってあるそうだ。青竹の細いのはニューヨークから取り寄せ、40名ほどの職人も半数ほどはニューヨークからやってきて制作したという。
「遠い記憶」は、廃校になった小学校を使った作品。これを見て、タイムトンネルだと思わない者はいないだろう。
「国境を越えて・海」は、骨太な構造で作られた小さな音楽ホール。海流に乗って流れ着くヤシの実を象っている。
芸術祭の展示ではないのだが、大ヤシの実のある海岸沿いの民家で、いいものがあった。カフェのようなしつらえなので、冷たいものでもと思って中へ入ると、ご主人が居り、普通の民家だとのこと。しかし冷たい水を振舞っていただいてお話も伺えた。どうも、同じように間違えて入って来る客が後を絶たないようだ。
料理人の友人と作ったそうで、白灰色の土佐漆喰の涼しそうな壁、その壁も少なく抑えた開放的なプラン、大理石タイルの白い床、丹色が洒落てエキゾチックな玄関扉、低めの庇、天井のない高さのある屋内、暗めの屋根下地を背景にゆっくりまわる真っ白な天井ファン。正面奥のカウンター。いやどうみてもお洒落なカフェですよご主人。w
話しているうちにも、身なりのよい若い女性の一団が、やはり間違えて入ってきた。それを潮に別れを告げて出る。
こうして見ると、かなり充実した展示だった。芸術祭のパスポートを途中から買ってみたのだが、もう十分もとはとった。
日も傾いてきたので、小豆島へ移動する。今夜はそちらでキャンプ。
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