瀬戸内島行記130813
朝6時頃には最初のフェリーが動き出す。主要な航路では30分間隔くらいで行き来している。波もなく穏やかで、バイクをハーネスで止めることもしない。波の荒い東京湾フェリーとはかなり違う。
直島まで30分ほど。
直島の宮浦港のフェリーターミナルは「海の駅なおしま」と名前がついている。SANAAの設計でシャープかつ透明な空間。一部、地元産材のベンチが置かれているのは、まあご愛嬌。
芸術際の作品は、島のあちこちに点在している。自転車、電動バイク、バス、思い思いの方法で見て回る。宅配もここでは自転車だ。
原色のかぼちゃを模したような作品は、パンフレットなどにも乗っている。真っ暗な内部から、小さな穴を通して外の風景を切り取る。
こちらも同じ作者だが、これはただ置かれているだけ。しかし、この点景があることで、空間が引き締まる。
さらにこの作品には、一時の訪問者にはわからない意外な効果もある。
島内の民家で、島民が撮った写真があった。
波がかぶっているのは、数年前に台風と高潮が同時に来た時のもの。このオブジェがあることで、水の高さが強調されている。雪の写真もそうだ。こんな温暖な地域でも雪が降ることがあるということを、驚きとともに伝えている。
もしこのオブジェがなかったら。単なる堤防の写真だったら、これほど強い印象にはならないだろう。
直島には、オブジェだけでなく、地中美術館とベネッセハウスという二つの美術館もある。
地中美術館の展示の中で、ジェームズ・タレルという人の作品がよかった。知覚心理学の学位を持っているそうで、それに基づいた作品、とは説明員さんからの受け売りだが。入口近くの立方体に見える光の塊「アフラム、ペール・ブルー」で、まず引き込まれる。「オープン・フィールド」と呼ばれる青い空間は、あの世というのはこういうところかもと思わせる。「オープン・スカイ」は、金土曜のみのプログラムは見られなかったが、青い空がまぶしい。
ほかにモネの睡蓮などもあった。こちらはまあ、骨董的価値というか。あの時代にとってはエポックメイキングだったかもしれない点に意味がある。
この美術館をサイトスペシフィックと称しているのは単なるこじつけだとは思うが、確かに雨の少ない地域の方が展示に有利ではありそうだ。
ベネッセハウスのミューショップ遠景と、はしけから見える奇妙な作品。これも違和感とともに印象に残っている。
島の家並みはよくある懐かしさだが、共通したデザインの暖簾をかけているなど、工夫が見られる。
中央の暖簾の家は、家の前に鉢植えの花を飾っている。年寄りのご婦人が腰かけているので、いろいろ話を聞く。花、よく手入れされていてきれいですねと聞くと、花のことばっかりでわしのことは綺麗じゃないのかなどと笑いながら言う。おきゃんなばあちゃんだ。
その話によると、この暖簾は、岡山の山と、砂浜と、海とを表しているそうな。なるほどそう言われればそうだな。
ほかに、家プロジェクトといって、使われなくなった民家を芸術的空間に改装などしている。
盛りだくさん汗だくさんでよれよれに疲れた。宇野港へ帰る。明日は豊島だ。
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