「終戦のエンペラー」
敗戦後の天皇の処遇を巡る物語。特に新しい解釈などはないが、戦争犯罪について調査にあたった米国の軍人と、日本人女性との秘められた恋という複線仕立てで纏めている。日本という国の特異性というテーマは、日本人には受けがいいが、外国でも受けるかどうかはわからない。以下ネタバレ。
お話の中で、"devotion" が、日本人の特質を表す言葉として、何度も繰り返される。この映画は、表向きは、太平洋戦争の開戦と終戦について、昭和天皇が果たした役割に焦点を当てているのだが、実は、この"devotion"が真のテーマなのではないかとも思える。それについては、西田敏行が役の中で真顔で解説してくれるので、それを聞くのが参考になる。少しだけ、天邪鬼の立場から私見を言えば、この論法は単なる言い訳なのだが、同じ日本人として語られると、麻薬のような作用がある。
歴史について書かれたものを読むのは嫌いではないのだが、近現代史のような評価の定まっていない生臭い部分は、少し避けているところがある。とはいえ、昭和天皇が没してからもう四半世紀が経つのだった。その周辺を描いた映画があらわれるのに、必要にして十分な時間が経ったということだろうか。
先日の、電車に挟まれた乗客を助けるために、乗客と駅員が一緒に電車を押すニュースは、もちろん結構な話なのだが、同じ根をもつ何かが、災厄をもたらす方向に作用する場合もあることは、あまり意識されない。同朋の苦境や犠牲を意図的に演出することなど、ある種の人間にとっては朝飯前だろう。
innocence を免罪符にすることが許される条件は限られる。願わくは、devotion が深化して、普遍的な humanity と wisdom に至っているといいのだが。
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