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2013.07.28

「ペーパーボーイ 真夏の引力」

タイトルの”真夏の引力”は余計。ミステリーと謳っているが、少し違う。イカレているというのが一番ぴったりするような映画。銀幕のスタアのイメージを大切にしたい向きには、間違ってもお勧めできない。原作の小説はベストセラーだそうだが。以下ネタバレ。

真実や正義の追及などというものを、あまりやり過ぎない方がよい。少なくとも、やり過ぎることで当事者はどういう目に会うか、覚悟しておくことは必要だ。そういう世界もある。というようなことを描きたかったのだろうか。徹頭徹尾イカレているので、それ以上は言いようがない。

そのイカレっぷりを、端正なイメージのザック・エフロンとニコール・キッドマンが、これでもかとやってくれる。ファンの方はイメージが壊れるので、見ない方がいいかもしれない。もっともニコールの方は「ドッグ・ヴィル」やらで、以前から結構やっているのだが。今回はそれらをはるかに上回ります。

このイカレた世界の中で、はじめはまともだった家政婦の黒人女性が、すっかり魯鈍な感じになってしまうのが、悲しみを誘う。ここで生きていくには、まともな人間性は却って邪魔になる。暗にそう言っているかのようだ。魯鈍な感じを冒頭に持ってきて、その口からまともだった過去を語らせる形をとっているのがうまい。

作り物の世界がこれだけ激しくイカレていると、却って、いま現在の現実世界が、それなりにまともに思えて、安堵する。この映画の設定は1960年代ということだが、その頃に比べれば、アフリカ系の人でも出身地を偽らずに記者になることはできるだろうから。
ひょっとすると、現実への感謝を呼び起こすのが、この作品の意図なのだろうか。

ペーパーボーイという英語のニュアンスを知らないのだが、このタイトルにおいては、現実を知らないお子様を見下す意味が込められていることは間違いない。観ている方も試されているようで、あまり気分がいいとはいえない。そういう作品。
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