「最後のキス」
2011年のイタリア映画祭で人気のあった作品を集めた、「Viva!イタリア」3本のうちの1本。夫婦の絆について、ドタバタ劇で笑いを誘いつつ、じんわり教えてくれる良作。主人公カップルの女性を演じているジョヴァンナ・メッツォジョルノさんがもうすごい美人。それが怒った時の切れっぷりは・・すぐ劇場に行って、後学のために見ておくべき。
初老の夫婦と、そのまだ若い娘のカップル、彼らの既婚未婚とりまぜた友人達、2つの年代の様々な恋愛、夫婦愛を同時進行で見せる。軽いお遊び、一時の気の迷い、家業、子育て、責任、逃避、倦怠、浮気、破局の一歩手前まで、順不同でいろいろ見せられることで、赤の他人からスタートしてかけがえのない伴侶になっていくまでの、夫婦というものの紆余曲折、一筋縄でいかない縁の深さを感じずにはおれない。
といっても湿っぽさは少なく、むしろ印象としては陽性で騒がしい。浮ついた陽気さとは少し違うのだが、この辺りがイタリア的なテイストなのかもしれない。
とまあ、わかったような感想を書いてもありきたりにしか聞こえないが、この作品の見どころは、どちらかといえば落ち着いた雰囲気の主人公が、夫の浮気を知ってからの逆上ぶり。これが激しく真に迫っている。いやもう包丁握りしめたところでわたくしは惨劇の予感に震えましたです。
そして、彼女の憤激と対比した夫のうろたえぶりが笑いを誘う。しかもこの男、狼狽のさなかにもしっかりと、秘すべきことはしれっと嘘でカバーして、決定的な破局を回避している。妻の方も、薄々は感じながらもとりあえず鉾を収める。これこそ夫婦というものの阿吽の呼吸。笑わずにはいられません。
一方で、彼らの友人夫婦の生真面目な破局と比較すると、長きにわたる夫婦の付き合いが、必ずしも真面目一辺倒で続くものでもないことに、それとなく気づかされたりもする。
美人が怒ると怖いけれど、男は慌てず騒がず誠意をもって、「嘘も方便」で切り抜けるべし。爆笑したあと、悲喜こもごもを感じる良い作品でした。
タイトルが少し気になる。「最後の」というよりは、「もう一度・・」とでもした方が内容と合う気がすると思っていたら、続編が作られていて、そちらのタイトルが「もう一度キスを」だそうな。本作のエピローグから考えて、続編は妻の方の浮気を描いているのだろうか。そちらも機会があれば見てみたい。
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