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2013.06.29

「真夏の方程式」

最初のつかみがうまい。その後の展開が泣ける。最後に結末に納得する。東野圭吾は日本人のツボをよくわかっている。ミステリなので、ネタバレはなし。

この原作者の書くものは、SFマガジンにしばしば掲載されていた頃はよく読んでいた。白夜行が白眉だったと思うけれど、しかしその後ぱったり読まなくなった。たぶん、毎度同じテイストに飽きたのだろうと思う。それでも、こうして映画化されてみると、まるで変っていないし、面白さも同じだ。同じだから飽きるのだが、それは贅沢というものだろうか。

それにしてもストーリーがよく練られている。いろいろ入り組んでいるにも関わらず、無駄な要素がない。すべてが計算されて正しく配置され、お話が展開するにしたがって、それぞれの本当の意味が立ち現われてくる。

流れの中でごく自然に出てきた主人公の言葉が、最後になってこれほど重い意味を持ってくるとは。また、付随的な要素に見えた少年と主人公の夏休みの取り組みが、後半にかけて、話の本筋に必要不可欠な下ごしらえに変貌するとは。この辺りの意外性の演出の巧みさは、東野圭吾ならではだろうか。

日本人の大多数の心情に寄り添うことも忘れない。宿の女将が結婚相手に選んだのは、羽振りの良い実業家ではなく、エンジンメーカーの技術者だった。その実業家にはその後、”どうせ会社は倒産して女房とも別れた”、などと言わせている。この妙なリアル感は、原作者のものか、それとも映画化にあたったテレビ局の感覚なのか。いずれにせよ、メジャーな層を確実に捉えていると思える。

「アマルフィ」の駄作ぶりをいまだに根に持っている執念深い私wだが、本作をもってフジテレビの罪は帳消しにしてもよい(えばりっ)。考えてみると、南イタリア地中海の大人の恋より、黒潮洗う民宿に隠れ住んだ家族の哀れな情念の方が、はるかに馴染みがあってしっくりくるのだった。作り手もそうだろうし、ましてや自分を含めた観客の方もそうだ。

いかにも日本的な納得感で上手に纏められた一本だったが、それにしても福山雅治のクールで熱くてかっこいいこと。しびれます。

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