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2013.04.07

「世界にひとつのプレイブック」

予告編を見ただけでは、この映画のよさは伝わらない。こんな楽しいラブストーリーをあやうく見逃すところだった。以下ネタバレ。


心の壊れた人を見るとき、怖れと好奇の目を向ける傾向はどうしてもある。それは、相手を理解できないからだろう。この映画の出だしも、少しおかしいどころか、はっきり〇〇ガイである主人公がちょっとこわい。あ、伏字は”タフガイ”じゃありません。念のため。

ところが、お話が進むにつれて、そういう人でも、心の内側は、こちらとよく似たところのある普通の人間で、感情の機微もあるということにふと気付かされ、共感できるようになる。その気付きに向かわせる話の運びとディテールに、不自然さが微塵もない。それだけでもこの作品はたいしたものだ。演じるブラッドリー・クーパーの力量もあるだろう。

追っかけ登場するヒロインのティファニーも同様。むしろ、少し壊れかかった心の表現は、ジェニファー・ローレンスの方がうまいかも。メイクも効果的だが。

たとえ〇〇ガイであっても、心の機微は普通の人と変わらない。そうした大きな通奏低音に、正統的なラブストーリーが重ね合わされていく。はじめは、セラピーで飲まされる治療薬の名前で盛り上がり、周囲の普通人たちを寄せ付けない情け無用のイカレた二人組だが、そんな二人の間にも、取引あり策謀あり、彼女の切ない想いと彼氏の鈍感ぶり、すれ違う気持ちの反発などもあり。

表面的には二人は友達で、彼女は彼氏が元妻とよりを戻すために献身的に協力する、いわゆるいい人役。彼氏はそんな彼女の想いに気付かず、最後の土壇場まで元妻の方を見続けている。はたして二人の結末や如何に。

一歩づつ、気持ちが近づいていく過程が、壊れた心が癒され立ち直っていく過程と、ぴったり重ねあわされて、二重にじんわりくる。二人とも出だしは〇〇ガイというクレイジーな設定のおかげで、このじんわり感が、より深く、味のあるものになった。二人の俳優の表現も、変化をはっきり出していてうまい。

という具合に、本筋は真摯なラブストーリーに違いないのだが、なにしろ少し壊れている二人だから、気持ちの表われ方が普通でない。そこが新しくて少し怖くて、そして可笑しい。主人公の親父の壊れっぷりが、これに輪をかけ・・いやいや花を添えてくる。おもしろいですこれ。

ひょっとして今年あたりは、笑いとシリアスという異質なものをブレンドして、それぞれの深みを増すという試みが流行なのだろうか。"CABIN"といいこれといい。こちらはその上キュートなラブストーリーでもある。

そろそろいかにもな映画体験に飽きがきていたところへ、新手のストーリーテリングを繰り出してくるあたり、ハリウッドはまだまだやってくれそう。

Pic01

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