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2013.03.23

「ジャックと天空の巨人」

童話を素材にして新しい物語をつくる手法に、このところ乗せられっぱなしだ。「スノー・ホワイト」はまだ少しこなれていない感じがあったが、「オズ はじまりの戦い」は大いに楽しめた。そしてこの「ジャックと天空の巨人」。普通の映画のお約束を、いろいろなところで打ち破っていておもしろい。以下ネタバレ。

お約束破りの好例は、例えばこんな感じ。
しがない小作農の主人公ジャックが、芝居小屋で居合わせたお忍びの姫を暴漢から救う場面。よくありがちな設定と展開だ。普通の主人公ならここで、栴檀は双葉より芳しいところを見せるはずだが、どっこい、おやおや?という方法で騒ぎは終息する。見ている方は、偶然の出会いと英雄的行為というお約束を見せられるかとおもいきや、急転直下、意外なユーモアとリアリティのある方向に転進させられて目が覚める。

お話の大枠も、少々捻って二段階の構成になっている。前半はひとつ目の冒険譚。これだけで、普通の作品1話分の構造を既に持っている。ユーモラスだが手に汗握る展開のあと、悪人は相応の最期を遂げ、怪物は一応封印され直し、主だった者たちは生還。ここまでを手際よくまとめている。

だが、主人公も周囲の人間も、あれだけの冒険を経た後でもまだ、既成の社会の枠に戻ろうとする。それは、冒険自体が空の向こうの異界でのことで、地上では、既成の枠がまだ十分に強いから。主人公にとっては、一時の夢のあとの挫折でしかない。まあ、普通の現実はそんなものだろう。ここでも妙なリアリティが漂う。

ところがそこに、封印したはずの災厄が、文字通り降りかかる。ここからがふたつめの冒険。既存の常識はことごとく、劇的に、徹底的に破壊される。巨人達の膂力、知力、素早さ、人数、どれをとっても人間に勝ち目はない。絶望が形を成して目の前に迫るという体験を経て、九死に一生を拾ってはじめて、地上の人間達にも変化が訪れる。

この作品は、そういう構成をとりつつ、主人公の成長を結実させている。一本調子の物語ではなく屈曲があり、醒めた目を感じさせるのが特徴的だ。

巨人達が、人間達同様に仲間内の争いを抱えているところも、この作品を特徴づける要素のひとつだろう。妙に人間くさく個性的なのだ。ここでも、大きくて力は強いが、のろくて直情的という、お約束の巨人像を否定している。作品の端々にユーモアを感じるのは、このユニークな巨人たちの存在のお蔭かもしれない。


普通の娯楽作品のお約束を破ることで、新鮮な感覚を吹き込みながら、冒険譚としてはお約束どおりに破天荒で、童話の決まりごとであるハッピーエンドはしっかり守っていて安心感もある。バランス良くかつ新しい感じのある、一言でいうと「面白い」作品でした。

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それにしても、戦いの天王山で「綱引いちゃった」を見せられるとは! 当然な話の流れで真剣そのもの(笑)。

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