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2013.03.14

「キャビン」

B級には違いないし、ネタも途中から薄々わかってくるのだが、でもこれは新しいし面白い。公式サイトの予告編は、ネタバレしすぎなので、見ない方がよい。予備知識なしで劇場へ行くのがお勧め。以下ネタバレはもちろん読んではいけません。


コントロールされたホラー、という構造が早い段階から見えていて、ホラーと隣り合わせにコメディが同時進行する。ホラーの方が手際良く本格的に作られているので、コメディとのギャップがムズ痒い。

それだけならしかし、よくあるB級映画で終わるのだが、コメディのもう一枚裏に、シリアスな闇の存在を仄めかして、奥行きを見せている。

二層のホラーの間にオチャラケが挟まれて悲喜劇が進行する、といった幻妙な味わい。


この変な感じは、例えばこんなシーンに現れる。山小屋の古びた部屋のランプの中に仕込まれた監視カメラを発見して、これリアリティショーだろ!いい加減にしてくれ!と叫んでいる若者に襲いかかるのは、テレビ局に雇われた役者ではなく、正真正銘本物のゾンビ。犠牲者大混乱。

でも、ここまでなら、どこかで見たことはある。何かの手違いでそうなった、というお話だ。たいていホラー一色で、笑いの要素はない。ところが、それを見ている管制室は、犠牲者の惨劇は承知の上でのお祭り騒ぎ。見ている方は、これは何事かと訝るが、その陽気なお祭りがまた、深い闇の手の平の上、という奥行き感。しかも、世界各地で同様のことが行われているのをチラ見せして、空間的な広がりまでも感じさせる。

なんじゃこれは!オモシロイでわないか!

ちなみに、日本のホラーも材料に使われていて、ますます笑える。真剣なホラーなのに思わず笑ってしまうところが、この作品の絶妙な味わい。

さてお話は、山奥の小屋には似つかわしくない、近代的なエレベータの登場で後戻りのできない曲がり角を曲がる。古びた山小屋の惨劇と近代的な管制室とが、実は隣接していることが、ここで意識される。この先は別種のお話に切り替わるのだが、かといって不連続でもない。このあたりの流れの作り方が、とてもうまい。

さらにお話が進むにつれて、他の映画なら主役級のゾンビ達も、実は駒のひとつに過ぎないことがわかってくる。次第に全体像が見えてくるこの種明かしの感覚を、エレベータの箱という道具立てを使って表現したのは秀逸なアイデア。犠牲者の生き残りが、エレベータの箱に乗って、同じような箱に封印された様々なモンスター達の間を経巡っていくときの深い静寂が、心にしみる。これはもっと大きな絶望に向けた束の間の安息、そして死の旅路なのだ。

この先も、もうひと騒ぎふた騒ぎあって、盛り上がる。最後にあの人が登場するところで、またもご丁寧に笑いをとってからw シリアスな終幕へつき進んでいく。

行きつくところまで、きっちり連れて行ってくれたという感じの、大満足な一本でした。

そうそう、ジュールス役のアンナ・ハッチソン嬢の演技が極めつきにエロい。ゾンビにやられるときの表情も最高。過剰演技といえるくらいのサービスが嬉しい。

Img_1838

これは映画館のロビーにおいてあった「箱」、なぜこれが?という疑問は、映画を見れば氷解します。

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